Makuake実行者向け お役立ち記事

「Makuakeって、なんなん?」という人のために、中小企業の活用方法をまとめてみた

作成者: 武田康平|2022/03/6

クラウドファンディングという言葉も市民権を得てきた2022年、各社から多くのプロジェクトが立ち上がり、1000万円を超えるプロジェクトも珍しくなくなった。
これらは「クラウドファンディング」や「クラファン」などと称されるが、プロジェクトごとに性質が異なるため、一概に括ることはできない。
そこで今回は、Makuakeについて、他クラウドファンディングサイトと比べた時の性質や、その利用方法について解説させて頂く。

 

Makuakeについて

寄付や投資ではない

まず始めに、Makuakeは「購入型」のクラウドファンディングであるため、寄付や投資ではない。企業は集まった金額に対して、明確なリターンの提供を求められる。簡単な話、売買契約を結ぶ。
消費者の目線でも、寄付や投資の感覚はなく、「新しいもの、珍しいものが欲しい」や「せっかくなら頑張っている人の商品を買いたい」など、その感覚は限りなく「購入」に近いものである。
(Makuakeでは、国内未発売の商品、サービスのみ出品が可能)

産業支援ができるMakuakeの形=「応援購入」について

Makuakeは、購入型クラウドファンディングの中でも、特に「購入」の特色が強いため、実行者の商品やサービスを購入することを「支援」という言い方はせず、「応援購入」という。
応援購入とは、実行者の「こだわり」や「ストーリー」を知った上で、応援の気持ちを込めて購入する行為を指す。コロナ禍で注目を集めた「応援消費」とほぼ同義であるが、我々はコロナ以前から提唱していた考え方である。
このような理由から、Makuakeはクラウドファンディングとは名乗らず、「アタラシイものや体験の応援購入サービス」と名乗るのである。

コロナに伴いMakuakeを通して見えた変化

コロナ禍にあった2020年以降、様々な業界で大きな変化があったが、Makuakeでは、自社商品のプロジェクトを実施する中小企業が増えた。

背景としては、航空機産業や宿泊、飲食業への打撃に伴う、金属加工業や窯業など、下請けへの影響が大きい。ネガティブな書き方になるが、このような中小企業が、「下請けを脱しよう」と思った訳ではなく、「下請け以外にも取り組まない」と生き残れなかったのである。その手段として、金属加工の技術を生かしてキャンプグッズを製造販売したり、普段は取引先に卸していた陶器を直接販売したり、というような動きが多く見られる。

2020年財務省のレポートによると、製造業のうち50%以上の企業で売上高等への悪影響が見られる。(下図、赤枠内が「減少」)

50%以上の企業で売り上げが減少
出典元:2020年 新型コロナウイルス感染症による企業活動への影響とその対応 財務省

しかし、これは決してネガティブな話ではない。自社商品の製造・販売には下記のようなメリットがあると考えられる。

 

事業ポートフォリオのバランス改善

BtoB、BtoCのバランスを改善することで、コロナのような環境変化に強いポートフォリオを構成することができる。また、BtoCメーカーとして認知されることで、下請けの発注者に対しての交渉力が強まることも考えられる。

また、日本政策金融公庫(2013)によると、新商品や新分野に挑戦している企業はそうでない企業よりも売り上げが増加する傾向にある。

新事業を展開している企業の売り上げは増加する傾向がある
出典元:2013年 「中小企業の新事業展開に関する調査」結果 日本政策金融公庫

職人プライドの醸成

自社商品を持つことは、人事面にも好影響がある。下請けの場合、製造した部品が生活者の直接届くことがないため、「これは俺がつくったんだ」といった自尊心を持ちにくいのが現状であろう。
一方、自社商品を持つことで製造した商品がそのまま世の中に出るため、メーカーとしてのモチベーションが高まる効果が期待できる。

 

決定権

価格や販売方法を自ら決められるのは、自社商品最大のメリットである。
価格は、企業の売上、利益に直結する重要な要素であるため、意図した金額で取引できることには大きな価値があると考える。

以上のように、自社商品を持つことは様々なメリットがあるため、コロナがキッカケとなって増加傾向にあると考える。
自社商品のメリットについてはこちらのnoteに書いているので、是非ご覧頂きたい。

Makuakeのメリット

ここまで自社商品を持つメリットについて述べてきた。次に、自社商品を持っている/始めるメーカーがMakuakeを利用するメリットについて述べていく。

在庫を持たなくていい

第一に、在庫を持たなくていいことである。

 

Makuakeでは変更予約販売の形式を取るため、在庫を持たずに販売することができる。これによりメーカーは、「スピーディー、かつリスクの低い出品」が可能となる。

テストマーケティング

在庫を持たなくていいため、テストマーケティングができる。既に販売が決まっている場合は、どのようなターゲットに受け入れられたのか、どのような点を気に入ってもらえたのか、を事前に調査することで、一般販売時のマーケティングに生かすことができる。

Makuakeでは分析ツールやコミュニケーションページをご用意しているので、定量・定性面から商品の調査ができる。

Makuakeの分析機能

また、そもそも販売を決めかねている場合も、All or Nothing形式にすることで「目標金額に達した場合のみプロジェクト履行」という方法を取ることもできる。
通常であれば、テストマーケティングはモニター調査やアンケートで行うが、多くの場合でテスト結果は現実と異なる。そもそも前提として、人間は自身の欲求を言語化することができないため、アンケートでは買うと言っても買わない場合(逆も然り)がある。

Makuakeでは、「実際に販売」をするので、非常に精度の高いテストマーケティングを実施することが可能である。
以上のように、Makuakeを実施することで、一般販売の意思決定材料を増やすことができる。

例えば、三重県四日市市の部品加工会社(中村製作所)は、ベストポットという無水調理鍋を開発し、そのテストマーケティングとしてMakuakeを利用して頂いた。

お米が激ウマに炊けます。

開発当初、社長は周囲からの大反対にあったが、Makuakeでは受注生産のため、テストマーケティングとして実施に踏み切った。
500万円以上の応援購入が集まり、現在は一般販売で人気を集めている。

PR効果

Makuakeの会員は約200万人となり、3ヶ月のアクセスUUは1000万人を突破した。また、WEBメディアを中心としたネットワークもあるため、Makuake実施によって得られるPR効果は大きいと考える。

会員数は順調に伸びています。

メディア連携も進んでいます。

自社商品を自分たちで売っていこうとすると、集客は自力で行わなければならないが、これは自社商品を開発したばかりの中小企業には難しいと考える。



岐阜県大垣市の枡製造メーカー(大橋量器)は、コロナ禍で結婚式やイベントのキャンセル、自粛の影響で、酒用の枡の販売が落ち込んでいた。そこでデザイナーとタッグを組み、冷凍ご飯を美味しく食べるための枡の開発に挑んだ。

お米がふっくら解凍できます。

商品は素晴らしい完成度だったが、販路も多くなく、広告宣伝費も潤沢にはないため、初期のPRとしてMakuakeを選んで頂いた。
結果、1000人以上のサポーターが集まる人気プロジェクトとなり、テレビにも取り上げられるなど、大きなPR効果を生んだ。

顧客と直接繋がることができる

直接販売をする場合、顧客と直接繋がれるのも大きい。
通常は卸、小売を介するので、顧客の顔や意見を直接みることはできないが、直販によりこれが実現する。
これにより、顧客とコミュニケーションしながらファンに育てることができたり、意見を取り入れた商品の開発が可能となる。

Makuake成功のコツ

これまでMakuakeのメリットを話してきたが、とはいえ全てのプロジェクトが成功する訳ではない。そこで最後に、Makuake成功のコツとして、大きく2のポイントについて述べていく。

誰かが「買う」と言っている商品に

メーカーさんとのお打ち合わせの際「どんな商品が売れますか?」という質問を頂くことが多々ある。複数の要因が重なり、ようやく「売れる」訳なので、一言で回答はできないが、あえて答えるとするならば『あなた、あるいは身の回りの誰かが「買う」と言ってくれる商品にしましょう』とお答えしている。
ニーズ調査のデータや、最近のトレンドを分析してつくられた商品、でも、誰かが「買う」と言わない限り、間違いなく売れない。誰かが欲しい商品を徹底的に磨き込む、この姿勢が重要である。

単発ではなく、連続させる

プロジェクト1つ1つは重要だが、Makuakeは2回以上実施することで、複利的に効果が増す。

なぜか、まず1つ目の理由は、宣伝費用の節約ができるからである。1回目のプロジェクトのサポーターに対して、2回目のプロジェクトのご案内をすれば、買ってもらえる確率は格段に上がるだろう。サポーターを資産として捉えることで、次のプロジェクトに良い効果が期待できる。

2つ目の理由は、商品開発の意見を聴けることである。
サポーターに対して「次は何を作って欲しいですか?」「こんな商品作ってみたのですが、どうですか?」など、商品開発の手助けが期待できる。

上記のように、サポーターの意見を反映させながら、プロジェクトを進化させることができる。
以上のように、プロジェクトを点でなく線として繋げることで、Makuake実施の旨味が増してくるのである。

ここまで、自社商品をMakuake実施するメリットについて述べてきたが、最も重要なのは「実行者の熱意」である。これは様々なプロジェクトを見てきたが断言できる。
新しいことに挑戦する時、根拠もなく反対する者、やらない理由を探す者に囲まれることがある。そんな時、「熱意」が唯一の突破口となっていくのだと信じている。

※今回のnoteは、以前とある会報誌に寄稿した記事をリニューアルしたものです。「そもそも何故Makuakeを使うのか?」という部分にフォーカスした内容でして、まだMakuakeを知らない方にも読んで頂ける記事かと思います。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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