「Makuake」実行者のみなさま、こんにちは。
前回、「Makuake」におけるプロジェクト実施の「成功」とは というテーマで記事を掲載いたしました。
想定よりたくさんの方々に読んでいただいており、大変嬉しいかぎりです。
みなさま、本当にありがとうございます。
あらためまして、このコラムは毎月1本のペースで発信を予定しております。
今月は『プロジェクト「成功」の落とし穴』をテーマに記事を書き進めてまいります。
ここで、このコラムの方針をもう一度。
いわゆる「プロジェクトを成功させるために◯◯をしましょう!」というような一問一答のノウハウではなく、一歩下がって、「成功ってなんだっけ?」といったようなテーマについてみなさんと一緒に考えたい。そんな思いで書いていきます。
今回は、成功の「落とし穴」について書きます。
ここでの「成功」とは、「Makuake」におけるプロジェクト実施の「成功」ということで、まさに、前回書いたテーマそのものです。
そこで、まずはおさらいから。
前回記事を読まれていない方は、本記事の前に一度お読みいただけますと幸いです。
Makuake実施における「成功」とは:
実行者のストーリーに共感し、応援してくれるサポーターと出会い、新商品や新サービス、事業の成長が加速すること
これが、前回出した結論でした。
今回、焦点を当てるのは、上記の前半部分。
「実行者のストーリーに共感し、応援してくれるサポーターと出会う」まで、です。
突然ですが、みなさん、ブランド戦略における「2階建て理論」という言葉をご存じでしょうか?
この理論は「Makuake」で過去にプロジェクトを実施された、クラフトチョコレートブランド「Minimal -Bean to Bar Chocolate- 」の経営者である山下貴嗣さんが提唱されているものです。
概要を説明します。
まず、1階部分は、基礎や土台であり、お客さまを迎える玄関です。
ブランドに置き換えると基本的な構造部分。つまり食べ物であれば「美味しい」、サービスであれば「使いやすさ」といったその商品やサービスの機能や性能部分です。
そして、2階部分に新規性、オリジナリティ、デザイン性、販売方法などのプラスアルファの要素が乗っかってきます。
山下さんは、note記事で下記のように説明をされています。
1階部分はブランドを展開する領域の外してはならないベーシックな要素
2階部分がその領域におけるブランドの差別化要素
つまり類似領域の他ブランドとの違いを明確にする部分です。
どんなに見た目がおしゃれな家でも、住み心地が悪ければ元も子もない。
「住む」という大切な土台がぐらついていては、本当の意味でお客さまを満足させることができるでしょうか。
「2階建て理論」をMakuakeで掲載するプロジェクトに当てはめて考えてみます。
そうすると、1階、2階はそれぞれ下記のように整理できます。
1階:プロジェクトに掲載する商品やサービスの機能や性能
2階:プロジェクトにおける「アタラシイ」要素
2階部分について、さらに補足をします。
前回の記事で、「Makuake」のサービスコンセプトについてご紹介する中で、「アタラシイ」について下記のように説明しました。
アタラシイものや体験:発売前の新商品・斬新なコンセプトのサービス・めずらしい体験
プロジェクトにおける「2階建て理論」で考えると、前回、「応援購入」の大切なポイントとしてご紹介した下の要素も加わるかと思います。
「ストーリー」=「なぜ、(実行者が)このプロジェクトに取り組むのか」
このように考えると、「2階建て理論」はプロジェクト実施においても活用できそうだということが言えそうです。
先ほど、プロジェクト実施における「2階建て理論」を下のように整理しました。
1階:プロジェクトに掲載する商品やサービスの機能や性能
2階:・プロジェクトにおける「アタラシイ」要素
・「ストーリー」=「なぜ、(実行者が)このプロジェクトに取り組むのか」
2階部分は前回整理した通りなのですが、注目すべきは1階部分。
もう少し掘り下げます。
1階部分は、「お客さまを迎える玄関」だと先ほど述べました。
プロジェクト実施におけるお客さまを「サポーター」だとしたとき、1階部分にはまだ検討すべき要素があります。
一般的なECサイトで物を買うときの購入体験は大まかに、
買いたい物を探す
商品の機能性能で候補を検討する
購入する
商品が届くのを待つ
実際に使ってみる
レビューをする
このような流れとなり、購入体験は早ければ、2~3日ほどで完結します。
この流れを「Makuakeの応援購入」に置き換えたとき、商品を購入し決済するという点において大きな差異はないのですが、商品が手元に届くまでの時間やそれに伴う購入体験が大きく変わってきます。
上述した流れに沿って、大まかに整理すると、
「Makuake」でプロジェクトを探す
プロジェクトページをみながらリターンの機能性能部分と、ストーリーを含めて検討する
応援購入をし応援コメントを投稿する
リターンが届くのを待つ
実際に使ってみる/体験する
SNSで口コミを投稿する
この一連の流れが、長いものだと6か月以上かかります。
「応援購入」という性質上、このリターンが届くまでの期間が一般的なECサイトでの購入体験と比べて長くなるという点が大きなポイントになります。
さらに、お届け予定までに商品が確実に製造されるのか、しっかり手元に届くかどうかなど、一般的なECと比較すると不確定な要素が多くあります。
そのため、リターンが届くまでサポーターのみなさんはワクワクと不安が入り混じった心持ちでいます。
さらに、サポーターは、商品やサービスの機能性能や価格だけではなく、実行者のみなさんへの応援の気持ちを込めてリターンを購入します。
つまり、「2階建て理論」に基づくと、誠実なコミュニケーションや十分な情報発信ができているかが、プロジェクト実施における「1階部分」の重要な要素だということが言えます。
例として、下記のようなプロジェクトをイメージしてみます。
ブランド認知を高めるために、新商品を「Makuake」で実施。
プロジェクト公開後、順調に応援購入を集め、目標金額も達成。満足のいく結果を得ることができた。
しかし、終了後にクレームがきてしまった。
このような事例はジャンル問わず「Makuake」におけるプロジェクト実施で発生し得るパターンです。
そういったプロジェクトをつぶさにみていくと、共通点として「お問い合わせ対応が不適切」であったり、「情報提供が不十分である」ということが共通点だということがわかってきました。
不適切なサポーターとのコミュニケーションが実行者の信頼や好感を損ない、結果的にクレームにつながってしまう事例は少なくありません。
プロジェクト実施における「2階建て理論」を再度整理し直すと
1階:
・プロジェクトに掲載する商品やサービスの機能や性能
・誠実な情報提供やコミュニケーションができているかか
2階:
・プロジェクトにおける「アタラシイ」要素
・「ストーリー」=「なぜ、(実行者が)このプロジェクトに取り組むのか」
このようになるかと思います。
応援してくれるサポーターとの関係性が、プロジェクト終了後もとても大切になりますので、「2階部分」だけでなく、「1階部分」をもう一度見直し、ぜひ今後につながるプロジェクトを実施していただければ、私たちにとってこれほど嬉しいことはございません。
次回は、「1階部分」の誠実な情報提供やコミュニケーションが取れているかについてさらに深掘りしてお伝えできればと思います。
ここまで読んでくださったみなさま、本当にありがとうございます。
これからも、実行者のみなさま、サポーターのみなさまと一緒に考えたいテーマについてコラムを書いてまいります。