近年注目されているファンマーケティングとは、自社の商品やサービスに愛着を感じるファンを育て、中長期的に売上を拡大させるマーケティング手法です。
ファンマーケティングのファンとは、自社の製品やサービスに対して強い関心や愛着を持ち、一般の顧客よりもさらに熱心に支持をしてくれる人のことを指します。商品やサービスに対して自発的な行動をとることが特徴で、SNSで応援の気持ちを発信したり、改善のためのフィードバックを提供してくれるなどの傾向があります。
従来のマーケティングは、TVや雑誌などのマスメディアを活用し、広く浅く顧客層を増やしていくことが一般的でした。しかし近年は、ライフスタイルの変化などからファンマーケティングが注目されています。
▼目次
1)ファンマーケティングが注目されている背景
2)ファンマーケティングを活用する3つのメリット
3)ファンマーケティングをする3つのデメリット
4)ファンマーケティングの具体的な手法
5)ファンマーケティング実践のための3ステップ
6)ファンマーケティングを成功させるポイント
7)まとめ
熱烈なファンを育成することを目的としたファンマーケティング。ファンマーケティングが注目されている背景としてまず挙げられるのが、SNSの普及です。
SNSの普及により、情報発信力を持つインフルエンサーや顧客がブランドのイメージや認知度に大きな影響を与えるようになりました。この影響力を活用するのが、ファンマーケティングの目的の一つです。
また、オンライン販売の拡大も影響しています。オンライン販売の拡大によって消費者の選択肢が増え、商品やサービスの差別化が難しくなってきています。そこで、ファンマーケティングを活用してブランドの価値を上げる動きが広まりました。
ファンマーケティングには多くのメリットがあります。
ファンマーケティングによって育成したファンは、繰り返しサービスやブランドを愛用してくれる可能性が高く、売上基盤の安定化に貢献してくれます。
統計学やマーケティングでよく活用される「パレートの法則」では、「結果の8割は全体の2割が決定している」とされており、サービスやブランドにおいても売上の8割は2割のファンが生み出している、ということが言えるでしょう。ということができるでしょう。
顧客のうち2割のファンに注力し、1人1人の熱狂度を高めていくことで売上基盤の安定化するだけでなく、ファンの周辺へも影響が広がり、さらなる売上拡大が期待できるのです。
ファンの育成は企業の売上を維持・拡大する上で欠かせない要素であると言えるでしょう。
熱烈なファンは、ECサイトやSNSなどで良質な口コミを発信してくれることがあります。
商品やサービスを購入する際の検討材料として、第三者であるファンからの口コミは強い訴求力を持ち、新規顧客獲得の可能性を高めてくれます。
このように口コミによって新規顧客を獲得できるのは、ファンマーケティングの大きなメリットです。一般的に、新規顧客の獲得には広告掲載など多くのコストがかかるため、広告費の削減にもつながります。
熱烈なファンは、商品やサービスに対して強い関心や愛着を持っています。そのため、自社では気付かない改善点や想像もつかない斬新なアイデアを持っていることもあるでしょう。
ファンからのフィードバックをもらうことで、顧客のニーズを把握することができます。
そして受け取ったフィードバックを新商品の開発やサービスの改善に活かすことで、よりファンのニーズに沿った商品やサービスを作り上げることが可能になります。
一方で、ファンマーケティングにはデメリットもあります。デメリットに対しては、打ち手を講じることで対処することが可能です。
ファンの育成は簡単ではありません。ファンを育成するためには、一人ひとりに合わせたコミュニケーションを取り、企業に対して信頼や共感、愛着を感じてもらう必要があります。丁寧なコミュニケーションを長期的かつ継続的に行うことで、顧客と深い関係を築けるのです。そのため、ファンの育成には時間がかかります。
ファンの育成に時間がかかるのはたしかにデメリットといえますが、一度ファンになると競合他社にブランドスイッチする可能性は低いといわれています。時間をかけて育成したファンが将来の可能性をより高めてくれる存在になることは間違いありません。
ファンの心理が悪い方向に作用する可能性もあるでしょう。例えば、企業に不祥事が起きてしまった場合です。ファンは好きなブランドに裏切られた気持ちになり、その落胆から炎上や反感を引き起こすリスクが想定されます。
炎上や反感を引き起こさないためには、信頼されるブランディング活動に努めることが大切です。丁寧なコミュニケーションと、ファン心理を理解した言動を主軸に、継続的な信頼関係を築いていきましょう。
ファンマーケティングにより企業の成長意欲が薄れ、事業成長の妨げになる恐れもあります。というのも、ファンマーケティングが成功して売上が安定すると、現状維持で問題ないという気持ちが生じてしまうからです。
企業の成長には、新規顧客の獲得が不可欠です。ファンマーケティングに成功したとしても、成長意欲を維持して新規顧客を獲得することが重要です。
ファンマーケティングを行うには、いくつかの手法があります。中でも注目されているのが、以下に挙げている3つの手法です。各手法の概要や具体的な活用方法について紹介していきます。
SNSは、主に情報発信をするツールです。企業やブランド単位でアカウントを作成して、さまざまな情報を発信します。発信する内容は、商品やサービスに関する情報だけでなく、ブランドにまつわるコンセプトや思い、裏話などを交えながら発信するのがポイントです。
また、SNSは複数の媒体を活用することをおすすめします。SNSの利用者層は媒体によって大きく異なるため、InstagramやTwitter、LINEなど複数の媒体を活用することで、多様な顧客との接点を増やすことができるからです。
ライブ配信は、ファンとリアルタイムでコミュニケーションを取ることができます。
ライブ配信を行う上で大切なのは、商品・サービスの魅力を発信するだけでなく、ファンからの質問や要望にその場で応えることです。
双方向のコミュニケーションがファンの熱量をあげ、新たなファンの誕生に寄与することができるでしょう。
クラウドファンディングは、資金調達としてだけでなく、顧客からの意見を集めるためのファンマーケティング手法としても昨今注目を集めています。
自社の商品やブランドについての思いを伝え、顧客の反応を見極めると共に、得られたフィードバックをさらなる改善に繋げることが可能です。
ファンマーケティングは一朝一夕に結果が出るものではありません。ローマは一日にして成らず、一つ一つのステップを着実に進めてゆきましょう。
まずは、ファンの定義を定めます。ファンの定義には、購買データと顧客ロイヤリティを用いるのが一般的です。顧客ロイヤリティとは、顧客が企業やブランドに対してどのくらい愛着や信頼を持っているかを示す概念です。
顧客ロイヤリティを数値化するために使われるのが、NPS®(ネットプロモータースコア)です。顧客に対して「この会社(もしくは商品・サービス)を友人や同僚に薦めますか」という質問をし、0〜10点の11段階で回答してもらいます。9〜10点と回答した人をプロモーターと呼び、購買データとの掛け合わせで上位にくる顧客をファンと定義することが多く見られます。
が、どういった顧客を「ファン」と呼び、どう育成していきたいかは企業によって大きく異なります。事業戦略や各種発信内容にも大きく影響を及ぼす部分であるため、慎重に方針を定めましょう。
ファンを定義した後は、ファンを獲得するための課題を明確にします。ファンになってもらう上で至らない点がないかを洗い出しましょう。顧客からのフィードバックを得る方法としては、NPS®でのアンケートやインタビューなどがあります。
洗い出した課題は、緊急度や重要度をもとに優先順位をつけて解決していきましょう。課題の解決と並行して、ステップ3を進めていきます。
最後に、ファンが興味を示す施策を実施します。ファンに限定した特別なプロモーションや情報発信を行ったり、ファン同士でコミュニケーションが取れる場を設けたりするのもいいでしょう。
ファンが何を求めているかで取るべき施策は異なります。また、見切り発車で単発的な施策を乱立するよりも、最初は成果が見えづらくとも根気強く継続して施策を行うことでファンの離脱を防ぐことができます。
ファンマーケティングを成功させるには、いくつかの重要なポイントがあります。ここでは、具体的に3つのポイントを紹介していきます。
第一に、ファンと密にコミュニケーションをとり続けることです。継続的にコミュニケーションをとることで、企業は商品やサービスに対する良質なフィードバックを得ることができます。上述した通り、良質なフィードバックは企業の成長につながります。
ファンとしても、企業とコミュニケーションをとることで関心や愛着が増してゆくため、より強固な関係性を築けるでしょう。
ファン同士のコミュニケーションの場を作ることもポイントです。ファン同士のコミュニティは、ファンにとって価値ある情報や体験を共有できる場であり、ファンの満足度やロイヤリティを向上させることができます。
さらにファン同士のコミュニティが活性化することで、競合他社にブランドスイッチされることを防いだり、新規顧客を呼び込む効果もあります。
最後に、信頼されるブランディング活動に努めることが何よりも重要です。ブランディング活動とは、企業や製品に対するイメージを定着させるための活動です。
言葉遣いがぞんざい、問い合わせの対応が杓子定規的で冷淡、SNSで軽はずみな言動をしてしまうなど、小さな要素に見えるけれども確実にファンの信頼に欠ける行為を行ってしまうと、ブランドに対するイメージも悪化します。
ブランドイメージの悪化は売上にも影響を及ぼしかねません。ファンからのフィードバックを取り入れながら、信頼されるマーケティング活動に努めましょう。
当記事では、ファンマーケティングのメリット・デメリットや成功させるためのポイントなどについて解説しました。ファンマーケティングを活用することによって、企業は売上の基盤を築くことができ、新規顧客の獲得も期待できます。
ファンマーケティングを成功させるためには、ファンと継続的にコミュニケーションを取ることが大切です。ファンとのコミュニケーションの中で得たフィードバックを活かし、企業のさらなる成長につなげていきましょう。
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