SCAMPER法とは？7つの質問でアイデアを量産する発想術を徹底解説

アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」には、斬新なアイデアから生まれた革新的なプロダクトが日々登場しています。そうした新しいアイデアを効率的に生み出す手法として、多くの企業やクリエイターが活用しているのが「SCAMPER法（スキャンパーほう）」です。

あなたも、ブレインストーミングでアイデアが出つくしてしまった経験はありませんか？

この記事では、SCAMPER法の基本概念から具体的な使い方、そして実践的な活用方法まで、網羅的に解説します。ブレインストーミングだけでは十分なアイデアが出ない、発想のきっかけが欲しいという方に、すぐに実践できるノウハウをお届けします。

1） SCAMPER法とは？【基本概念と背景】

SCAMPER法とは、新しいアイデアを生み出すための発想法の一つです。以下の7つの英単語の頭文字から名付けられたフレームワークで、既存のアイデアや製品をさまざまな角度から見直すことで、短時間で多くの発想を生み出せる手法として知られています。

• Substitute（代用する）
• Combine（組み合わせる）
• Adapt（適応させる）
• Modify（修正する）
• Put to other uses（他の用途に使う）
• Eliminate（除去する）
• Reverse・Rearrange（逆転・再構成する）

この手法は、米国の創造性研究家ボブ・エバール氏が、ブレインストーミングの創始者であるアレックス・オズボーン氏の「オズボーンのチェックリスト」を基に開発しました。新規事業開発や商品開発において「発想の幅を広げたい」「既存のアイデアをブラッシュアップしたい」といった場面で特に有効です。

2）SCAMPER法の使い方【メリット・デメリット】

SCAMPER法は万能ではありません。メリットとデメリットを理解したうえで活用することが大切です。

SCAMPER法のメリット：短時間で多角的な発想が生まれる

SCAMPER法の最大のメリットは、短時間でアイデアを量産できることです。7つの決まった切り口に沿って考えるため迷いが減り、限られた時間でも多くの発想を生み出せます。

• 効率的にアイデアを量産できる：会議の時間が限られていても、各質問に2〜3分ずつ答えるだけで、30分程度で数十個のアイデアが出ることも珍しくありません。
• 発想の幅が広がる：強制的に視点を変えることで、普段は思いつかないような角度からアプローチでき、普段は見落としていた解決策に気づくことができます。
• 汎用性が高い：製品開発だけでなく、サービス改善、業務効率化、マーケティング施策など、あらゆる課題に適用できます。
• チームで取り組みやすい：全員参加型のブレインストーミングとなり、多様な視点からのアイデアが集まりやすくなります。
  

SCAMPER法のデメリット・注意点：陥りがちな問題とその対策

SCAMPER法は、使い方を間違えると効果が薄れる場合があります。

• 発想がパターン化する恐れがある：フレームワークに頼りすぎると、自由な発想が出にくくなる恐れがあります。行き詰まったときの補助輪として活用し、慣れてきたらフレームワークに縛られない発想も心がけましょう。
• すべての質問に答える必要はない：7つすべてに無理に答えようとすると、かえって時間がかかる場合もあります。課題に最も関連性の高い3〜4つの視点に絞って深く検討するほうが効果的なこともあります。
• ゼロからの創造には不向き：SCAMPER法は既存のアイデアを起点に発散する手法です。そもそもアイデアの種となる概念がない場合は、他の発想法を併用する必要があります。
• チームで使う際はファシリテーションが必要：発言力の強いメンバーの意見に引っ張られる可能性を防ぐため、まず個人で考える時間を設けてから共有するなどの工夫が必要です。
  

3）SCAMPER法の7つの質問と具体例

それでは、SCAMPER法を構成する7つの質問を、具体的な事例を交えながら見ていきましょう。

1. Substitute（代用する）

既存の素材、部品、プロセス、人材などを別のものに置き換えたらどうなるかを考えます。

• 質問例：「素材を他の物質に変えたら？」「役割を他の人やモノに代行させたら？」
• 成功事例：
  ◦紙ストロー：プラスチックを紙に代用し、環境負荷を低減。
  ◦大豆ミート：肉を大豆に代用し、ヘルシーでサステナブルな代替食市場を創出。

2. Combine（組み合わせる）

複数の要素や機能を組み合わせて、新しい価値を生み出せないか検討します。

• 質問例：「AとBを統合すると？」「異業種のサービスを一緒に提供できないか？」
• 成功事例：
  ◦スマートフォン：電話とPC機能を融合。
  ◦ブックカフェ：カフェと書店を組み合わせ、新たな体験を提供。

3. Adapt（適応させる）

他分野の成功事例や過去のアイデアを自分のテーマに適応できないか考えます。

• 質問例：「別業界の手法を取り入れられないか？」「昔のアイデアを現代向けに復活できないか？」
• 成功事例：
  ◦無人販売所：農家のビジネスモデルを冷凍餃子やスイーツ販売に応用。
  ◦ゲーミフィケーション：ゲームの手法を学習アプリに取り入れ、学習意欲を向上。

4. Modify（修正する）

サイズ、量、時間、色、形状などの属性を変えることで、新しい価値を生み出せないか検討します。

• 質問例：「もっと大きく/小さくしたら？」「時間や頻度を増減させたら？」
• 成功事例：
  ◦早ゆでパスタ：麺の太さを工夫して調理時間を大幅に短縮。
  ◦コンビニコーヒーSサイズ：量を減らすことで、新たな需要を開拓。

5. Put to other uses（他の用途に使う）

本来の用途から離れて、他の使い道がないか模索します。

• 質問例：「本来の目的以外に使えないか？」「異なる分野で活用できないか？」
• 成功事例：
  ◦シュレッダーはさみ：海苔を切るハサミを書類の細断に転用。
  ◦コーヒーかすの再利用：消臭剤や肥料として転用し、廃棄物に新たな価値を付与。

6. Eliminate（除去する）

機能、プロセス、部品などをあえて取り除いたらどうなるかを考えます。

• 質問例：「機能を思い切って減らせないか？」「工程を省略できないか？」
• 成功事例：
  ◦Amazon Go：レジというプロセス自体を排除し、買い物体験を革新。
  ◦シンプル家電：余計な機能を削ぎ落とし、使いやすさと低価格を実現。

7. Reverse・Rearrange（逆転・再構成する）

順序、前提、立場などをひっくり返して考えます。

• 質問例：「手順を逆にしたら？」「弱点をあえて強みにできないか？」
• 成功事例：
  ◦Post-it（付箋）：強力な接着剤開発の失敗から生まれた「弱い糊」を逆転の発想で活用。
  ◦C2Cマーケットプレイス：「お客様が店員」というコンセプトで、従来の販売形態を逆転。

4） SCAMPER法の進め方

SCAMPER法は、以下のような手順で実施します。

ステップ1：テーマ（種となるアイデア）の設定

発想の軸となるテーマや現行アイデアを決めます。

「自社の新商品コンセプト」「既存サービスの改善」など、ある程度、具体的な対象を設定します。SCAMPER法は既存のアイデアを起点に発散する手法です。

ステップ2：7つの質問でブレインストーミング開始

7項目のチェックリストに沿ってアイデア出しを行います。

• 時間制限を設ける：各質問2〜3分程度で、思いついたことをすべて書き出します。
• 質より量を重視：この段階では評価や批判はせず、とにかく数を出すことに専念します。
• 困ったら飛ばす：回答しづらい質問は飛ばしても構いません。
  

ステップ3：アイデアの整理と評価

出揃ったアイデアをグルーピングし、有望なものを選び取ります。

• 実現可能性、インパクト、独自性などの観点で評価します。
• すぐにボツにせず、アイデア同士を組み合わせる可能性も検討します。
• 最終的に、具体的な施策や試作に繋げるアイデアを3〜5個程度選定します。
  

5） SCAMPER法に関するよくある質問（FAQ）

Q1. SCAMPER法とブレインストーミングはどう違うのですか？

A. ブレインストーミングは「批判しない」「自由奔放」「質より量」「結合・改善」という4つのルールに基づき、参加者が自由に発言する発想法です。一方、SCAMPER法は「代用」「結合」「適応」といった7つの具体的な問いかけを起点にアイデアを出すため、思考を整理しやすく、短時間で効率的にアイデアを量産できるという違いがあります。SCAMPER法は、ブレインストーミングをより体系的に進めるための強力なツールと言えます。

Q2. チームでSCAMPER法を実施する際のコツは？

A.全員が発言しやすい環境づくりが重要です。まず個人でアイデアを書き出す時間を設け、その後、全員で共有すると効果的です。また、ホワイトボードや付箋を使ってアイデアを可視化することで、他の人の発想に刺激を受け、より多くのアイデアが生まれます。

Q3. SCAMPER法はどんな課題にも使えますか？

A. 既存のアイデアや製品、サービスを改善・発展させる際に非常に有効です。しかし、まったく新しい概念をゼロから創造する場合には不向きな場合があります。その場合は、他の発想法と組み合わせることをお勧めします。

6）まとめ：SCAMPER法で発想力を革新しよう

SCAMPER法は、7つの視点から発想を広げ、短時間で多彩なアイデア創出を可能にするフレームワークです。メリットだけでなく注意点も理解したことで、より効果的に活用できるはずです。

ぜひ一度、自社の会議や企画でSCAMPER法を試してみてください。最初は戸惑うかもしれませんが、繰り返し使うことで発想力が鍛えられ、アイデア創出のスピードと質が向上していきます。

「Makuake」では、SCAMPER法で生まれた斬新なアイデアを実際にテストマーケティングできる場を提供しています。クラウドファンディングの仕組みを活用することで、市場の反応を確かめながら、リスクを抑えて新商品・新サービスを世に送り出すことが可能です。あなたの革新的なアイデアを、Makuakeで形にしてみませんか？