プロトタイプとは? Web・製品開発での意味と作り方を5ステップで解説
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」では、まだ世にないプロダクトやガジェット、家電、アウトドア用品など様々なアイデアが「プロトタイプ」を経て形になっています。
しかし、「プロトタイプ」という言葉は、Webサイトやアプリの開発現場と、製品のモノづくりの現場では、その意味や作り方が大きく異なります。
この違いを理解せずに進めてしまうと、目的に合わない試作品を作ってしまい、時間やコストを無駄にしてしまうかもしれません。
この記事では、ソフトウェア(Web/アプリ)とハードウェア(製品)、両方のプロトタイプについて、その基本から実践的な作り方までを網羅的に解説します。自分の目的に合った知識を体系的に得ることで、アイデアを確実に形にする第一歩を踏み出せるでしょう。
▼目次
1)プロトタイプとは?基本と2つの種類を理解しよう
2)ソフトウェアのプロトタイプ:UI/UXを検証する
3)ハードウェアのプロトタイプ:機能や実現性を検証する
4)プロトタイピングがもたらす共通のメリット
5)プロトタイピングの進め方・基本の5ステップ
6)まとめ
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1)プロトタイプとは?基本と2つの種類を理解しよう

プロトタイプについて学ぶ前に、まずは全体像を把握しましょう。ここでは、プロトタイプの基本的な意味と、混同しやすい概念の違い、そして2つの大きな分類について解説します。
プロトタイプの意味:「アイデアを形にした試作品」
プロトタイプとは、アイデアや構想を具体的な形にした試作品のことです。本格的な開発や量産に入る前に、コンセプトが正しいか、実現可能か、ユーザーに受け入れられるかを検証するために作られます。
分野を問わず、プロトタイプの本質は「早い段階で形にして、確かめる」ことにあります。頭の中だけで考えるよりも、実際に手に取れる、目で見える、操作できる形にすることで、多くの気づきや改善点が見えてくるのです。
「プロトタイプ(モノ)」と「プロトタイピング(プロセス)」の違い
プロトタイプについて調べていると、「プロトタイピング」という言葉も頻繁に目にするのではないでしょうか。この2つは密接に関連していますが、意味は異なります。
- プロトタイプ:試作品そのもの(モノ)
- プロトタイピング:試作品を作って検証する一連の活動(プロセス)
料理で例えるなら、「プロトタイプ」は完成した試作料理そのもので、「プロトタイピング」は試作レシピを考え、実際に作り、味見をして改良していく一連の活動です。
この記事では、プロトタイプ(モノ)の種類や作り方を解説するとともに、プロトタイピング(プロセス)の進め方についても詳しく説明していきます。
プロトタイプの2大分類:ソフトウェアとハードウェア
プロトタイプには大きく分けて「ソフトウェア」と「ハードウェア」の2種類があり、目的も作り方も大きく異なります。
- ソフトウェアのプロトタイプは、Webサイトやスマートフォンアプリなど、デジタル製品の試作版です。主にユーザーの操作性や体験を検証するために作られます。
- ハードウェアのプロトタイプは、物理的な製品の試作品です。デザインの質感、機能の実現性、量産に向けた課題などを検証するために作られます。
ここから、それぞれを詳しく見ていきましょう。
2)ソフトウェアのプロトタイプ:UI/UXを検証する

Webサイトやアプリ開発において、プロトタイプは欠かせない存在です。このセクションでは、ソフトウェア開発におけるプロトタイプの役割と、関連する重要な概念について解説します。
目的と役割
ソフトウェアのプロトタイプを作る主な目的は、ユーザーの操作性(UI)や体験(UX)を検証し、開発の手戻りを防ぐことです。
実際のプログラミングを始める前にプロトタイプで操作感を確認することで、以下のようなメリットがあります。
- 開発コストの削減:本開発後の大幅な修正を避けられる
- ユーザー目線での検証:実際の操作感を早期に確認できる
- チーム内の認識統一:完成イメージを関係者全員で共有できる
- 投資判断の材料:アイデアの実現性を具体的に示せる
プロトタイプがあれば、「このボタンの位置では使いにくい」「画面遷移が分かりにくい」といった問題を、実装前に発見し修正できます。
ワイヤーフレーム、モックアップとの違いとは?
ソフトウェア開発では、プロトタイプと似た言葉として「ワイヤーフレーム」「モックアップ」があり、混同されがちです。これらはデザインの進化の過程を表しており、それぞれ異なる目的があります。
|
段階 |
名称 |
特徴 |
目的 |
忠実度 |
|
1 |
ワイヤーフレーム |
レイアウトの骨格のみ |
情報設計の検証 |
低 |
|
2 |
モックアップ |
静的なビジュアルデザイン |
見た目の検証 |
中〜高 |
|
3 |
プロトタイプ |
動的な操作が可能 |
操作性・体験の検証 |
高 |
- ワイヤーフレームは、どこに何を配置するかという情報の設計図です。色やデザインは最小限で、画面の構成要素と配置を決めることに集中します。
- モックアップは、実際のデザインに近い見た目を再現した静止画です。色、フォント、画像などを反映させ、完成形のビジュアルイメージを確認できます。ただし、クリックしても反応しません。
- プロトタイプは、実際にボタンをクリックしたり、画面を遷移したりできる動的な試作版です。ユーザーが実際に操作することで、使いやすさや体験を検証できます。
これらは必ずしも順番通りに作る必要はなく、目的に応じて適切な手法を選択します。
3)ハードウェアのプロトタイプ:機能や実現性を検証する

物理的な製品を開発する際のプロトタイプは、ソフトウェアとは全く異なるアプローチが必要です。このセクションでは、Makuakeの潜在的な起案者にとって特に重要な、ハードウェアのプロトタイプについて詳しく解説します。
目的と役割
ハードウェアのプロトタイプを作る主な目的は、デザインの見た目や質感、機能の実現性、量産に向けた課題などを検証することです。
物理的な製品の場合、画面上のシミュレーションだけでは分からない要素が数多くあります。
- 実物の質感:素材の手触り、重さ、色味などは実際に作らないと分からない
- 機能の実現性:理論上可能でも、実際に動作するかは別問題
- 使用感:持ちやすさ、操作性、サイズ感などの確認
- 製造の課題:量産時のコスト、製造方法の実現可能性
- 市場の反応:支援者候補からのフィードバック収集
特にMakuakeでプロジェクトを展開する場合、プロトタイプは支援者に対して「このアイデアは実現可能だ」という信頼を示す重要な証拠となります。
種類と呼称:デザインモックとワーキングモック
ハードウェアのプロトタイプには、検証目的に応じて大きく2つの種類があります。
デザインモック(外観試作)
外見や質感を確認するための試作品で、必ずしも実際に動作する必要はありません。
- 主な目的:見た目、色、サイズ、素材感の検証
- 用途:デザインレビュー、写真撮影、プレゼンテーション
- 製作方法:3Dプリンター、簡易加工、手作業での組み立て
- コスト:比較的低い
例えば、新しいイヤホンのデザインを検討する際、音は出なくても形状や装着感を確認できるモデルを作ります。
ワーキングモック(機能試作)
実際に動作する試作品で、技術的な実現性を検証します。
- 主な目的:機能の動作確認、性能測定、技術的課題の洗い出し
- 用途:機能テスト、耐久性試験、ユーザーテスト
- 製作方法:実際の部品組み込み、電子回路の実装、プログラミング
- コスト:比較的高い
例えば、スマート家電の場合、実際にアプリと連携して動作するか、センサーが正確に反応するかを確認する試作品を作ります。
多くの場合、開発の段階に応じて、まずデザインモックで方向性を固め、その後ワーキングモックで機能を検証していきます。
4)プロトタイピングがもたらす共通のメリット

ソフトウェアとハードウェア、分野は違えども、プロトタイピングというプロセスがもたらす価値には共通点があります。ここでは、プロトタイピングを実践することで得られる主要なメリットを解説します。
開発コストとリスクの削減
プロトタイピングの最大のメリットは、本格的な開発に入る前に問題を発見し、修正できることです。
本開発や量産が始まってから問題が見つかると、修正にかかるコストは莫大になります。一方、プロトタイプの段階で問題を発見できれば、修正コストは最小限に抑えられます。試作品は元々「確かめるために作るもの」なので、何度作り直しても構いません。むしろ、早く失敗して早く学ぶことこそが、プロトタイピングの真価なのです。
関係者とのスムーズな合意形成
アイデアを言葉や図だけで説明しても、人によって理解の仕方は異なります。プロトタイプがあれば、全員が同じものを見て、触れて、議論できます。
開発チーム、デザイナー、経営陣、投資家、そして将来の顧客候補。それぞれの立場から具体的なフィードバックを得ることで、より良い製品へと磨き上げられます。
特にMakuakeのようなプラットフォームでは、プロトタイプを通じて支援者候補と対話することで、「本当に欲しい人がいる製品」へと進化させられます。
ユーザーからの早期フィードバック獲得
開発者が「これは便利だ」と思っても、実際のユーザーが同じように感じるとは限りません。プロトタイプを使って早い段階でユーザーテストを実施することで、思い込みを排除できます。
ユーザーが実際にプロトタイプを操作する様子を観察すると、想定外の使い方をしたり、開発者が気づかなかった問題でつまずいたりする場面が必ず出てきます。こうした気づきこそが、製品を成功に導く貴重な情報なのです。
5) プロトタイピングの進め方・基本の5ステップ

プロトタイピングの価値を理解したら、次は実際に進める方法を学びましょう。ここでは、ソフトウェア・ハードウェアを問わず活用できる、基本の5ステップを紹介します。
ステップ1:目的を明確にする
プロトタイプを作る前に、何を検証したいのかを明確に定義しましょう。
目的が曖昧なまま作り始めると、必要以上に作り込んでしまったり、肝心な部分の検証ができなかったりします。
検証したい内容の例:
- ユーザーが直感的に操作できるか
- デザインが受け入れられるか
- 技術的に実現可能か
- 製造コストが目標範囲に収まるか
- 市場に需要があるか
目的が明確であれば、次のステップで何をすべきかが自然と見えてきます。
ステップ2:要件を洗い出す
目的達成に必要な機能や要素をリストアップします。ここでのポイントは、全てを盛り込もうとしないことです。
プロトタイプは完成品ではありません。検証に必要な最小限の要素に絞り込むことで、短期間で効率的に作成できます。
例えば、スマートフォンアプリのプロトタイプなら、全ての機能を実装する必要はありません。主要な画面遷移と、最も重要な機能だけを動作させれば、ユーザー体験の本質は検証できます。
ステップ3:手法・忠実度を選ぶ
目的と要件に基づいて、適切な製作手法と忠実度(どこまで本物に近づけるか)を選択します。
ソフトウェアの場合
- ローファイ(低忠実度):手書きのスケッチ、簡易的なワイヤーフレーム
- ハイファイ(高忠実度):実際のデザインに近いインタラクティブなプロトタイプ
ハードウェアの場合
- デザインモック:外観のみ、3Dプリンターや簡易加工
- ワーキングモック:実際に動作、本番に近い部品を使用
初期段階では低忠実度で素早く試し、検証を重ねながら徐々に忠実度を上げていくのが効率的です。
ステップ4:ツールを選んで作成する
選んだ手法に適したツールを使って、実際にプロトタイプを作成します。
作成時の心構えとして、「完璧を目指さない」ことが重要です。プロトタイプは検証のための道具であり、粗削りでも目的が達成できれば十分なのです。
ステップ5:テストとフィードバック
プロトタイプができたら、第三者に見せてフィードバックをもらいます。これがプロトタイピングの最も重要なステップです。
- ターゲットユーザーに使ってもらう:実際の操作を観察し、つまずく箇所を記録
- チームメンバーに見せる:多角的な視点から意見を集める
- 専門家に評価してもらう:技術的な実現性や市場性を確認
フィードバックを受けたら、必要に応じてプロトタイプを修正し、再度テストします。この「作る→テストする→改善する」のサイクルを素早く回すことが、プロトタイピングの本質です。
完璧なプロトタイプを1回で作ろうとするのではなく、何度も作り直すことを前提に進めましょう。
6)まとめ

この記事では、プロトタイプについて以下の内容を解説しました。
- プロトタイプの2つの種類:ソフトウェア(UI/UX検証)とハードウェア(機能・実現性検証)では、目的も作り方も異なる
- プロトタイピングの重要性:開発コスト削減、関係者との合意形成、早期フィードバック獲得という3つの大きなメリット
- 実践の5ステップ:目的の明確化→要件の洗い出し→手法選択→作成→テストとフィードバック
- 成功事例:Makuakeでのプロジェクトでは、プロトタイプが支援者の信頼を獲得する鍵となっている
ソフトウェアであれ、ハードウェアであれ、プロトタイプはあなたのアイデアを成功に導くための羅針盤です。頭の中にある構想を、できるだけ早く形にして、確かめて、改善していく。このサイクルを回すことで、本当に価値のある製品が生まれます。
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」では、多くの起案者と支援者が出会い、新しい価値を生み出しています。Makuakeはクラウドファンディングの仕組みを活かしたサイトとして、単なる資金調達の場ではなく、「応援購入」という新しい文化を創造しています。
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