総応援購入3,600万円、サポーター1,400名超。岩谷産業「MYDANRO」に学ぶ、既存技術を"暮らしの体験"に変換するMakuake活用術
応援購入総額約3,600万円。好評につきアンコールプロジェクトも実施。カセットボンベとカセットコンロで知られる岩谷産業の「インテリア暖炉」がMakuakeでデビューしました。
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」で、岩谷産業はMYDANROのほかに鉄板焼きプレート「ホームシェフプレート」、炊飯器「PROGOHAN」、コーヒー焙煎機「MY ROAST」のプロジェクトを実施し、これらの累計は約1億5,700万円に達しています。すべてに共通するのは「カセットガス」が燃料であること。用途は鑑賞、調理、炊飯と多様ですが、「カセットガスの可能性を広げる」というブランドの軸は一貫しています。
なぜ、カセットガスのインフラ企業がMakuakeで支持を集め続けるのか。インテリア暖炉:MYDANROから戦略を読み解きます。
※本記事は、Makuake公式YouTubeチャンネルで公開中の[【総額3000万円超】カセットガス1本で約7時間も燃え続ける!電源不要のお家で簡単「MYDANRO」が画期的過ぎる!]の内容をもとに、BtoB視点で成功要因を分析・再構成したものです。
1)事例概要:岩谷産業とMYDANRO
2)成功要因①:「暖める」を捨てて「眺める」を残す——引き算の商品設計
3)成功要因②:「憧れ」と「不安」のギャップを、構造と実演で埋める
4)成功要因③:4つの変数が体験を掛け算する——購入理由の設計
1)事例概要:岩谷産業とMYDANRO

岩谷産業株式会社は、産業用ガスやマテリアルを主力とする総合エネルギー企業です。BtoC領域ではカセットボンベやカセットコンロの製造・販売で広く知られています。同社の本山氏が「皆さん、一度は使ったことがあるんじゃないかなと思います」と語るとおり、日本の食卓を支えるインフラ企業としての認知されています。

岩谷産業株式会社は2022年に新商品開発部(現・マーケティング部 新商品開発担当)を新設。開発責任者の本山氏は「『ゆらぎ』として手軽に眺めて楽しめる製品を作ったら、多くの人にその魅力を伝えられるかもしれない」と着想し、約3年の開発期間を経て、特許出願中の燃焼構造によりカセットガスで焚火のような炎の揺らぎを再現することに成功しました。

こうして生まれたMYDANROは「炎を楽しむインテリア製品」。暖房器具ではなく、炎の揺らぎを眺めるための道具として設計されています。
MakuakeでのMYDANRO実績サマリー
|
項目 |
実績 |
|
応援購入総額 |
約3,600万円* |
|
サポーター数 |
1,400名超* |
|
商品カテゴリ |
インテリア暖炉(炎を楽しむ製品) |
|
使用燃料 |
カセットガス1本+電池2本 |
2) 成功要因①:「暖める」を捨てて「眺める」を残す——引き算の商品設計

MYDANROの商品設計で最も特徴的なのは、「暖房器具ではない」と明言している点です。
「お部屋全体を暖める暖房器具とはちょっと違うので、加熱機能があるわけではございません」と岩谷産業も説明しているとおり、カセットガスの燃焼制御技術を持つ企業が、その技術から「暖める」という機能をあえて外しています。
通常、ガス燃焼の技術を持つ企業が新商品を出すなら、「より暖かい」「より効率的」という方向に進みがちですが、MYDANROはその逆を行きました。この引き算が、商品のポジションを決定づけています。暖房器具と比較されない。エアコンやヒーターの代替品ではない。「炎のある暮らし」という、競合がほとんど存在しないカテゴリが生まれたことになります。

そして、この商品が成立するのは岩谷産業だからこそです。カセットガスの燃焼制御を数十年にわたって手がけてきた企業が「室内で炎を楽しめます」と言う。その一言の裏に、安全性に関する膨大な知見と実績がある。ブランドへの既存の信頼が、商品の説得力をそのまま支えています。
岩谷産業全体で見ると、この「カセットガスに新しい用途を重ねる」アプローチはMYDANROだけにとどまりません。ホームシェフプレートは「カセットガスで本格鉄板焼き」、PROGOHANは「カセットガスで直火炊き」。3つとも同じ燃料インフラに異なる体験を載せることで、別カテゴリの商品を生み出しています。自社が何十年も磨いてきた技術に新しい「意味」を重ね続ける。MYDANROは、その循環の出発点でした。
Makuakeプロジェクトを検討する企業にとっての問いは明確です。自社の「当たり前の技術」は何か。その技術から機能を引き算したとき、残る「体験」は何か。MYDANROが示しているのは、技術の新しさではなく「技術の再定義」がプロジェクトの起点になりうるという事実です。
3)成功要因②:「憧れ」と「不安」のギャップを、構造と実演で埋める

「自宅に暖炉があったらな。」
プロジェクトページの冒頭にはこの問いかけがあり、直後に暖炉の導入を阻む現実——設置工事、スペース、煤や煙、安全面、コスト——が列挙されます。MYDANROの商品設計は、これらの障壁を一つずつ潰していく構造になっています。
カセットガス1本と電池2本で駆動し、コンセント不要。重さ約5.7kgで、実際に持ち上げた動画では「あ、軽い。座ったままでも今持ち上げられた」と驚くコンパクトさ。工事もメンテナンスも不要です。
安全設計も徹底しています。炎に触れない構造。バーナー部のフレームロッドが燃焼状態を感知し不完全燃焼を防止。転倒時やカセットガスの内圧異常時には自動でガスを遮断して消火。煤で汚れない設計で、ガラスパネルなどを簡単にお手入れできるメンテナンス性も備えています。

「良い商品」であることと「安心して買える商品」であることは、別の設計課題です。MYDANROが合計3,610万円の応援購入を集められた背景には、「暖炉への憧れ」と「導入への不安」の間に立ちはだかるすべてのハードルを、商品の構造で消した設計力があります。
自社の商品に対してサポーターが抱く不安は何か。その不安をプロジェクトページのどの位置で、どんな手段で消すか。この設計が応援購入の総額を左右すると考えます。
4)成功要因③:4つの変数が体験を掛け算する——購入理由の設計
MYDANROは、1台の商品で異なる体験シーンを成立させる設計になっています。
これを可能にしているのが、商品に組み込まれた4つの変数です。照明を落とせば炎が空間の主役になり、つまみひとつで火力を変えれば炎の表情が変わる。背面パネルを黒から透明に替えれば炎が部屋の奥まで透け、上部のアロマ皿にお香を載せれば炎の熱で香りが立ちのぼる。明るさ、火力、パネル、香り。この4つの変数を組み合わせるだけで、同じ1台が「リビングのインテリア」にも「寝室のリラックスツール」にもなる。

さらに「停電や万が一の非常時にも、カセットガスがあれば、防災の灯りとしてもお使いいただけます」という実用面での価値も加わります。インテリアとしての情緒的な理由に、防災という合理的な理由が重なることで、購入を迷っている人の背中を押すもう一つの根拠になる。
スペックは「理解」を生みますが、応援購入の決め手になるのは「自分の生活に入ってくる実感」です。商品が持つ表情を場所、時間帯、組み合わせ、用途の軸で複数設計し、それぞれに体験者のリアルな反応を添える。この「購入理由の重ね方」が、プロジェクトの説得力を決めています。
5) まとめ:Makuakeは「技術の再定義」を市場に問える場所
MYDANROの成功は、画期的な新技術の話ではありません。数十年にわたって磨いてきた燃焼制御技術を、「暖める」から「眺める」に再定義し、生活の中の新しい体験として提案した。その視点の転換と、不安を丁寧に消していく設計力がサポーターに支持されたプロジェクトです。
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」では、多くの実行者とサポーターが出会い、新しい価値を生み出しています。Makuakeはクラウドファンディングの仕組みを活かしたサイトとして、単なる資金調達の場ではなく、「応援購入」という新しい文化を創造しています。
Makuakeの仕組みや活用事例、プロジェクトの進め方をまとめた資料をご用意しています。まずは資料請求から、はじめの一歩を踏み出してみてください。
By

