クラウドファンディングのデメリットやトラブルと失敗しないための対策【起案者・支援者必見】
「クラウドファンディングに挑戦したいけれど、失敗したらどうしよう…」
「支援したいプロジェクトがあるけど、お金を払って商品が届かなかったら?」
こうした不安を抱えている方は少なくありません。クラウドファンディングは、アイデアを形にする素晴らしい仕組みですが、同時にいくつかのデメリットやリスクも存在します。
この記事では、起案者と支援者の両方の視点から、クラウドファンディングのデメリットを徹底解説します。さらに、それぞれのリスクに対する具体的な対策をチェックリスト形式で提示することで、あなたが安心してクラウドファンディングに参加できるようサポートします。
この記事を最後まで読めば:
- クラウドファンディングの全デメリットを正確に理解できる
- 失敗を避けるための具体的な対策がわかる
- 安心してプロジェクトを始められる、または支援できるようになる
起案者・支援者が知っておくべきデメリットを見ていきましょう。
(※)プラットフォームにより、「起案者」はプロジェクトオーナー、実行者、クリエイターなど、「支援者」は、サポーターやバッカー、応援者などさまざまな呼び方で表現されます。この記事では代表的な表現である「起案者」、「支援者」を採用しています
1)【起案者向け】クラウドファンディング実行の前に知るべき6つのデメリット
2)【支援者向け】プロジェクト応援の前に知るべき4つのデメリット
3)デメリットを乗り越える!クラウドファンディング成功のための対策【チェックリスト付】
4)クラウドファンディングに関するよくある質問(FAQ)
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1)【起案者向け】クラウドファンディング実行の前に知るべき6つのデメリット

プロジェクトの起案を検討している方にとって、デメリットを事前に理解することは成功への第一歩です。ここでは、起案者が直面する可能性のある6つの主要なデメリットを、具体的に解説します。
デメリット①:プロジェクトが失敗するリスク
クラウドファンディングには、主に2つの方式があります。
|
方式 |
特徴 |
目標未達時 |
適した場面 |
|
All-or-Nothing方式 |
目標金額に達しなければプロジェクト不成立 |
資金を受け取れない |
最低限の資金がないと実行不可能なプロジェクト |
|
All-in方式 |
目標金額に達しなくても集まった資金を受け取れる |
集まった資金を受け取れる |
少額でも実行可能なプロジェクト |
All-or-Nothing方式で目標未達の場合、最も深刻なのは金銭的損失だけではありません。
- プロジェクトページの制作にかけた時間とコスト(数十時間〜数百時間)
- 広告宣伝費や PR活動にかけた費用(数万円〜数十万円)
- プロトタイプ制作費用
- 起案者としての信用やモチベーションへの影響
特に初めての挑戦の場合、失敗体験は次の挑戦への心理的ハードルを高めてしまう可能性があります。
デメリット②:手数料や諸経費で利益が圧迫される
「100万円集まれば100万円が手元に残る」と考えていませんか?実際には、支援総額から様々な費用が差し引かれます。
【主な費用項目】
- プラットフォーム手数料:決済手数料を含め15〜20%程度
- リターン制作費:商品の製造原価、梱包資材費
- 配送料:支援者数×1件あたり500〜1,500円程度
- 広告宣伝費:SNS広告、インフルエンサー起用など
- プロジェクトページ制作費:動画制作、写真撮影、デザイン費用
具体例:支援総額100万円の場合
- 支援総額:1,000,000円
- プラットフォーム手数料(20%):-200,000円
- リターン制作費(支援者100名、単価3,000円):-300,000円
- 配送料(支援者100名、1件800円):-80,000円
- 広告宣伝費:-100,000円
- 実質的な手取り:320,000円(32%)
このように、支援総額の半分以上が諸経費で消える可能性があります。事前に綿密な利益計算を行わないと、赤字になるリスクもあります。
デメリット③:準備からリターン発送までの作業負担が大きい
クラウドファンディングは「プロジェクトページを公開すれば終わり」ではありません。実際には、以下のような多くのタスクが発生します。
【プロジェクト公開前】
- 企画立案・コンセプト設計
- プロジェクトページの執筆(5,000〜10,000文字)
- プロモーション動画の制作
- リターン設計と原価計算
- プロトタイプの製作
【プロジェクト公開中(通常1〜3ヶ月)】
- SNSでの PR活動(毎日の投稿)
- 支援者からの問い合わせ対応
- 活動報告の定期更新(週1回程度)
- メディア取材対応
- 追加の広告出稿と効果測定
【プロジェクト終了後】
- リターンの本生産手配
- 検品・梱包作業(支援者数×1個)
- 発送手配と追跡
- 発送遅延時の個別対応
- アフターフォロー・問い合わせ対応
一人ですべてをこなそうとすると、本業に支障が出るケースも少なくありません。特に支援者が100名を超えると、発送作業だけで数日〜1週間かかることもあります。
デメリット④:アイデアの模倣や盗用のリスク
クラウドファンディングでプロジェクトを公開するということは、あなたのアイデアを世界中に公開することを意味します。
- まだ特許や商標を取得していない新技術・新デザイン
- 独自性の高いビジネスモデルやサービス
- 海外でも注目を集めそうな革新的な製品
プロジェクト公開後、類似品が市場に出回るまでのスピードは想像以上に速く、特に製造コストの安い海外メーカーによって数ヶ月後には模倣品が出回る可能性があります。
実際に起きた事例:
- ユニークなデザインのスマホアクセサリーが、プロジェクト公開3ヶ月後に大手ECサイトで類似品として販売された
- 画期的な調理器具のアイデアが、海外メーカーに模倣され低価格で販売された
デメリット⑤:炎上や批判を受けるリスク
SNSが発達した現代では、些細なことがきっかけで批判が広がる可能性があります。
- 市場価格と比較して高すぎる、または既存製品との差別化が不明確
- 技術的に実現困難な計画、過度に楽観的なスケジュール
- 支援者からの質問に誠実に答えない、活動報告が途絶える
- 当初の予定から大幅に遅れる、または遅延理由の説明が不十分
- すでに市場にある製品との違いが不明確
特に、既存の製品と酷似している場合や、プロジェクトの実現性に疑問を持たれた場合、SNS上で「これって詐欺じゃないの?」といった否定的なコメントが拡散されることがあります。
一度炎上すると、プロジェクトの信頼性が大きく損なわれ、支援が集まらなくなるだけでなく、起案者の評判にも長期的な影響を及ぼす可能性があります。
デメリット⑥:税務処理が複雑になる
クラウドファンディングで調達した資金は、売上として計上され課税対象となります。
【個人の場合】
- 雑所得または事業所得として確定申告が必要
- 年間20万円以上の所得がある場合は申告義務が発生
- 経費として認められる項目の整理が必要
【法人の場合】
- 法人税の課税対象
- 消費税の取り扱いにも注意が必要
- 期中の売上として適切に計上
注意すべきポイント:
- 支援総額全額が所得ではなく、諸経費を差し引いた純利益が課税対象
- リターン発送のタイミングと収益認識の時期
- プラットフォーム手数料は経費として計上可能
税務処理を適切に行わないと、後から税務署の指摘を受けて追徴課税される可能性があります。詳細は税理士などの専門家にご相談ください。
2)【支援者向け】プロジェクト応援の前に知るべき4つのデメリット

「気になるプロジェクトを見つけたけど、本当に大丈夫かな?」と不安を感じている支援者の方も多いでしょう。ここでは、支援者が知っておくべき4つの主要なデメリットを解説します。
デメリット①:リターンが届かない・プロジェクトが頓挫するリスク
支援者にとって大きなリスクは、支援金を払ったのにリターンが届かないという事態です。
- 起案者の倒産や資金難
- 製造過程での技術的な問題により製品化が不可能に
- 起案者の計画性の欠如や経験不足
- 想定外のトラブル(部品供給の停止、工場の閉鎖など)
大手プラットフォームでは、プロジェクト起案者の審査を厳格に行っており、専任のキュレーターがプロジェクトの実現可能性をチェックしています。しかし、それでもリスクがゼロになるわけではありません。
クラウドファンディングは、一般的なECサイトでの買い物とは異なり、未来の製品や体験を応援する側面があることを理解しておく必要があります。
デメリット②:リターンの到着が遅れるリスク
プロジェクトが成功し、製品化が決まっても、当初の予定通りにリターンが届かないケースは少なくありません。
遅延が発生する具体的な理由
製造上のトラブルは意外と多く、量産に入ってから品質問題が発覚し、金型の修正が必要になることがあります。また、想定以上の支援が集まって生産が追いつかないという、嬉しい悲鳴のような事態も起こります。
部品や原材料の調達が遅れたり、海外工場が急に稼働停止になったりといったサプライチェーンの問題も発生します。国際輸送の遅れや港湾でのストライキなど、物流面でのトラブルも無視できません。
デメリット③:届いたリターンの品質が期待以下のリスク
無事にリターンが届いても、「思っていたものと違う…」とガッカリするケースがあります。
- プロジェクトページに掲載されていた試作品は高品質だったが、コスト削減のため量産品は素材や仕上げが簡素化された
- 写真や動画では魅力的に見えたが、実物は小さい、色が違った
- プロジェクトページで謳われていた機能の一部が実装されていない
- 製造上の都合で、当初の予定から仕様が変更された
残念ながら、こうしたケースも存在します。
3)デメリットを乗り越える!クラウドファンディング成
功のための対策【チェックリスト付】

ここまで、起案者と支援者それぞれのデメリットを見てきました。しかし、これらのデメリットは決して乗り越えられないものではありません。事前の準備と適切な対策により、リスクを大幅に減らすことが可能です。
ここでは、具体的なアクションプランをチェックリスト形式で提示します。
起案者向け|失敗リスクを減らす7つの対策チェックリスト
□ 【目標設定】All-in方式を活用し、最低限の資金は確保する
All-or-Nothing方式は「目標未達=資金ゼロ」というリスクがあります。初めての挑戦では、All-in方式を選択することで、少額でも集まった資金を受け取ることができます。
まずはプロジェクトの実現に本当に必要な最低金額を算出しましょう。その上で、目標金額は「確実に達成できそうな現実的な額」に設定することがポイントです。
□ 【コスト管理】手数料・諸経費を全て洗い出し、利益計算を徹底する
「支援総額=利益」ではありません。プラットフォーム手数料(15〜20%)、リターンの製造原価、梱包資材費(1個あたり100〜300円)、配送料(1件あたり500〜1,500円)、広告宣伝費(支援総額の10〜20%程度)など、あらゆる経費を事前に洗い出しましょう。綿密な収支計算が、赤字を避ける鍵となります。
□ 【負担軽減】チームで役割分担するか、発送代行などの外部サービスを利用する
一人で全てを抱え込まず、適切に人やサービスを頼りましょう。動画制作やデザインはプロに外注し、発送作業は発送代行サービスを利用することで、大幅に負担を軽減できます。
SNS運用は広報担当を立てる、問い合わせ対応は複数人でシフト制にするなど、チームでの役割分担も効果的です。クラウドソーシングで単発のタスクを依頼する方法もあります。
□ 【権利保護】プロジェクト公開前に、特許や商標の専門家に相談する
アイデアの盗用リスクを減らすには、事前の権利化が最も有効です。特許事務所や弁理士に相談し、特許出願の可否を確認しましょう。最低限、特許出願中の状態にしておくことで、「特許出願済み」とプロジェクトページに明記できます。
また、ブランド名やロゴの商標登録、デザイン特許や意匠登録も検討する価値があります。これらの権利表記が、模倣を牽制する効果を生みます。
□ 【炎上対策】プロジェクトの進捗を誠実かつ定期的に活動報告で伝える
炎上の多くは「コミュニケーション不足」から生まれます。活動レポートは最低でも月1回更新し、支援者からの質問には24時間以内(遅くとも3営業日以内)に返信することを心がけましょう。
特に重要なのは、遅延が発生した場合の対応です。隠さずに早めに報告し、遅延理由と今後の見通しを具体的に説明してください。ネガティブなコメントにも冷静かつ誠実に対応し、問題が起きたときこそコミュニケーションを増やすことが信頼維持の鍵です。
□ 【事前準備】SNSなどで事前にファンを集め、初速を高める
プロジェクト公開直後の「初速」が成功を左右します。公開の1〜3ヶ月前からSNSで情報発信を始め、開発過程や試作品の写真・動画を定期的に投稿しましょう。「事前登録キャンペーン」でLINE登録やメールアドレスのリストを集めておくことも効果的です。
公開初日に支援してくれそうなファンには個別に連絡し、インフルエンサーや業界メディアにも事前に情報提供しておきましょう。
□ 【税務】事前に税理士に相談し、会計処理の方法を確認しておく
税務処理で後から困らないよう、プロジェクト開始前に税理士に相談しましょう。収益認識のタイミング(支援時か、リターン発送時か)、経費として計上できる項目、確定申告に必要な書類(領収書、契約書など)の管理方法を確認しておくことが重要です。
法人の場合は、決算期との関係も考慮に入れて計画を立ててください。
支援者向け|後悔しないプロジェクトの選び方5つのポイント
□ 【起案者の信頼性】起案者のプロフィールや過去の実績を確認する
起案者が信頼できる人物・事業者かをチェックしましょう。起案者のプロフィールが詳細に記載されているか、過去に他のプロジェクトを成功させた実績があるかを確認してください。
法人の場合は会社情報が明記されているかも重要です。また、SNSアカウントやWebサイトが実在し活発に活動しているか、評判はどうかなども検索してみることをおすすめします。
□ 【コミュニケーション】活動報告が定期的かつ誠実に行われているかチェックする
プロジェクト公開中の活動報告の頻度と内容は、起案者の誠実さを測る重要な指標です。活動報告が週1回以上更新されているか、進捗状況が写真や動画付きで具体的に報告されているかを確認しましょう。
問題が発生した際も隠さず報告しているか、支援者からの質問に丁寧に答えているか、コメント欄での起案者の対応態度も見ておくべきポイントです。
□ 【実現可能性】プロジェクトの計画が具体的で、リスクへの言及があるか見る
プロジェクトの実現可能性を冷静に判断しましょう。製造プロセスが具体的に説明されているか、スケジュールが現実的か(あまりに短期間ではないか)をチェックしてください。
試作品やプロトタイプの写真・動画があるか、技術的な課題とその解決策が明示されているかも重要です。リスクや遅延の可能性について正直に言及しているプロジェクトは信頼性が高いと言えます。逆に「絶対に成功する」といった過度に楽観的な表現があるプロジェクトには注意が必要です。
□ 【第三者の評価】コメント欄やSNSでの支援者の反応を確認する
他の支援者の意見や反応も参考になります。コメント欄で支援者からの質問に起案者が丁寧に答えているか、既存の支援者からポジティブな反応があるかを確認しましょう。
SNSでの評判も調べてみてください。批判的なコメントがある場合は、その内容が正当なものかを見極めることも大切です。支援者数が順調に増えているか、停滞していないかもチェックポイントの一つです。
□ 【プラットフォーム】審査基準が明確でサポート体制が整ったプラットフォームを選ぶ
プラットフォーム選びも重要です。審査が厳格で、サポート体制が充実しているプラットフォームを選ぶことで、リスクを減らせます。信頼できるプラットフォームを選ぶことは、支援者にとっての大きな安心材料となります。
4)クラウドファンディングに関するよくある質問(FAQ)

Q1. 法人ではなく個人でもクラウドファンディングはできますか?
はい、可能です。多くのプラットフォームでは、個人でもプロジェクトを起案できます。ただし、販売した資金は所得として確定申告が必要になります。個人の場合、雑所得または事業所得として計上し、年間20万円以上の所得がある場合は申告義務が発生します。詳細は税理士などの専門家にご相談ください。Q2. クラウドファンディングに法的な規制はありますか?
購入型クラウドファンディングの場合、主に景品表示法や特定商取引法などが関わります。誇大広告や虚偽の表示は禁止されており、リターンの内容を正確に記載する必要があります。一方、金融型(投資型、融資型など)のクラウドファンディングは金融商品取引法の規制対象となり、より厳格なルールが適用されます。この記事で主に解説しているのは購入型クラウドファンディングです。Q3. 支援したプロジェクトが遅延した場合、どうすればいいですか?
まずは起案者からの活動報告を確認しましょう。多くの場合、遅延の理由や今後の見通しが報告されています。不明点があれば、起案者に直接質問することも可能です。Q4. クラウドファンディングとECサイトでの買い物の違いは何ですか?
最も大きな違いは、クラウドファンディングは「未来の製品や体験を応援する」という投資的・支援的な性質を持つ点です。
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ECサイトでの買い物 |
クラウドファンディング |
|
|
購入対象 |
すでに存在する製品 |
まだ製品化されていないアイデア |
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納期 |
在庫があればすぐに発送される |
リターンの到着まで数ヶ月〜1年以上かかることもある |
|
返品/キャンセル |
可能な場合が多い |
原則として自己都合のキャンセルは不可 |
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リスク |
低(消費者保護が手厚い) |
中〜高(プロジェクトや起案者により、頓挫する可能性がある) |
クラウドファンディングは「新しい挑戦を応援する」という側面が強いため、ECでの買い物とは異なるという理解が必要です。
5)まとめ:デメリットの理解と対策が成功への第一歩

ここまで、クラウドファンディングのデメリットとその対策について、起案者・支援者の両方の視点から詳しく解説してきました。
クラウドファンディングには確かにデメリットが存在します。
- 起案者にとっては、プロジェクト失敗のリスク、手数料による利益圧迫、作業負担、アイデア盗用のリスク、炎上の可能性、税務処理の複雑さといった課題があります。
- 支援者にとっては、リターンが届かないリスク、発送の遅延、品質が期待以下、キャンセル不可といった不安要素があります。
しかし、これらのデメリットは、事前の理解と適切な準備で対策可能です。
起案者は、綿密な計画、コスト管理、誠実なコミュニケーション、事前のファン作り、専門家への相談といった対策により、失敗のリスクを大幅に減らすことができます。
支援者は、起案者の信頼性チェック、活動報告の確認、実現可能性の判断、第三者の評価の確認、信頼できるプラットフォームの選択により、後悔しない支援が可能になります。
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