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商品開発とは? 流れ・プロセスの全体像と進め方を解説【事例付き】

新商品の開発を任されたものの、何から手をつければいいのかわからない。全体の工程が見えないなか、途中で作業の手戻りが発生してなかなか進まない。商品開発の進め方でお困りではありませんか?

商品開発には決まった順序があります。市場を調べ、誰に届けるかを決め、売り方と採算を設計し、試して、直して、世に出す。順序を知らずに量産したあとで、商品にニーズがないと気づいても後戻りできません。

この記事でぜひお伝えしたいことがあります。

商品開発は、完成させてから売るのではなく、量産の前に実際の購買反応を確かめながら進めるほうが失敗しにくいということです。

この記事では、この考えを元に商品開発の工程を解説していきます。

アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」では、近年、購入型クラウドファンディングの特徴を活かしたテストマーケティングの事例が増加傾向にあります。本記事では商品開発の全工程を整理したうえで、市場に出す前に反応を確かめる方法まで解説します。

 

この記事で分かること

  • 商品開発の全工程と、各工程にかかる期間の目安
  • 工程ごとに何を決め、何をもって次に進むかの判断基準
  • 各工程で使えるフレームワークと、つくるべき成果物
  • 量産前に購買反応を確かめる方法と、実際の事例

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1)商品開発とは何か

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商品開発とは、新しい商品やサービスを企画し、実際に形にして市場に送り出すまでの一連の活動です。アイデアを考える段階だけを指す言葉ではありません。市場調査、試作、改良、販売戦略の立案、発売までのすべての工程を含みます。

自社で開発した商品は、価格の決定権を自社が持てます。仕入れて販売する商品にくらべて利益率を確保しやすく、ブランドの差別化や新しい顧客層の開拓にもつながります。

その一方で、商品開発は工程が多く、期間も費用もかかります。着手する前に、どの順序で何を決めるのかを把握しておくと進めやすくなります。

 

商品企画・製品開発との違い

商品開発と混同されやすい言葉を整理します。

用語

指す範囲

商品開発との関係

商品企画

何を、誰に、どのように提供するかを決める構想フェーズ

商品開発の前半にあたる工程

製品開発

設計・試作・量産準備といった技術面の工程

商品開発の中盤にあたる工程

マーケティング

売れる仕組みをつくる活動全般

商品開発と並行して進む領域

商品開発は、これらを含む上位の概念です。商品企画で「何を作るか」を固め、製品開発で「どう作るか」を決め、マーケティングで「どう届けるか」を設計します。この3つが順番に、ときには並行して動きます。

商品企画の工程を詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。

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商品開発の3つの種類

ひとくちに商品開発といっても、取り組む内容によって工程の作業量は変わります。大きく3つに分かれます。

 

【新規開発】

自社にない商品カテゴリーをゼロから立ち上げるタイプです。市場リサーチから量産体制の構築まで、全工程をひととおり通ります。期間も費用も最大になります。

 

【既存商品の改良】

すでに販売している商品の性能やデザインを見直す型です。顧客データが手元にあるため、市場リサーチの工程を短くできます。

 

【派生商品の開発】

既存商品のサイズ違い、色違い、用途違いを展開する種類です。コンセプトが決まっているので、工程を大きく省略できます。

自分の案件がどの型にあたるかを最初に決めておくと、期間と費用の見積もりがぶれにくくなります。社内に計画を出すときも説明しやすくなります。

 

2)商品開発の全体像|6つのプロセスと期間の目安

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商品開発は次の6つのプロセスで進みます。ただし一直線には進みません。検証の結果を受けて前の工程に戻りながら、仕様と価格を固めていきます。まずは全体像から確認してください。

 

商品開発における6つの工程

工程

完了基準

1. 市場リサーチとニーズ分析

参入余地を数値で説明できるか

2. ターゲット設定

誰の、どの場面の、どの不満を解決するかを言えるか?

3. 商品コンセプトの策定

提供する価値を一文で言い切れるか?

4. マーケティング施策と採算の設計

この価格とこの数量で利益が出るか?

5. 試作品の制作とテストマーケティング

実際の購買データが取れたか?

6. 量産と市場投入

発売後に追う指標が決まっているか?

作業が終わったかどうかではなく、完了基準の「問い」に答えられるかどうかで次に進む判断をします。答えられないまま進むと、あとの工程で戻る作業が発生する可能性があります。

 

各工程を行ったり来たりすることも多い

実際の商品開発では、テストマーケティングを終えた時点で、前の工程に戻ることもあります。

試作の過程で原価が想定を超えれば、価格を見直します。価格が変われば、誰に何を届ける商品なのかという前提も変わります。テスト販売で反応が弱ければ、伝え方やコンセプトを見直します。

前の工程に戻ればスケジュールは遅れます。ただ、量産に入ってから気づくよりは影響がずっと小さく済みます。計画を立てる段階で時間的な余裕を見込んでおくと、判断しやすくなります。

 

工程ごとの期間と成果物の目安

工程

期間の目安

つくる成果物

主な担当

1. 市場リサーチ

2〜4週間

競合比較表/顧客インタビューシート

マーケティング

2. ターゲット設定

1〜2週間

ターゲット定義シート

マーケティング

3. コンセプト策定

2〜3週間

コンセプト評価表

企画

4. 施策と採算の設計

2〜4週間

価格・チャネル計画/損益分岐点シート

企画・営業

5. 試作・テストマーケ

1〜3ヶ月

試作品/検証項目リスト

開発・マーケティング

6. 量産・市場投入

2〜6ヶ月

製品/発売後KPI一覧

製造・営業

 

【注意点】

上記は一般的な目安です。商品の種類によって変わります。電気製品や無線機能を含む製品、食品・化粧品などは、認証・届出の期間が別に加わります。

商品によりますが、最短でおよそ5ヶ月、標準的には1年前後を見込んでおくと計画が立てやすくなります。

 

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3)プロセス別の進め方

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各工程で「何を決めるか」「最低限やること」「つまずきどころ」を整理します。

 

市場リサーチとニーズ分析

 

何を決めるか:その市場に参入する価値があるかどうか

最低限やること

  • 対象市場の規模と成長率を、公的統計や調査会社のデータで確認する
  • 競合商品の価格帯・機能・レビューを5〜10商品分を洗い出し、競合比較表にまとめる
  • 想定顧客へのインタビューを、最低でも5人に実施する

競合のレビューを見るときは、星1〜3の低評価に目を通してください。「ここが使いにくい」という不満が、そのまま自社商品の差別化ポイントになります。

つまずくポイント

競合が少ない市場が見つかったときは、その理由を先に調べることをおすすめします。ニーズがそもそも小さい場合と、規制などで参入しにくい場合があります。理由次第でその後の判断が変わります。

 

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リサーチと並行してアイデアを広げる段階では、発想法を使うとアイディア数が出ます。

 
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ターゲット設定

 

何を決めるか:この商品を誰に届けるか

ここでは、次の4つに答えられる状態をつくります。

  • 誰が使うのか:実在する顧客像
  • どの場面で使うのか:商品が使われるタイミングと状況
  • どの不満を解決するのか:その場面で本人が困っていること
  • いま何で代替しているのか:競合商品にかぎらず、我慢や自作も含む

 

最低限やること

  • 地理的属性(居住地域・商圏)、人口統計的属性(年齢・性別・職業・収入)、心理的属性(価値観・ライフスタイル)、行動的属性(購買行動・利用メディア)の4軸で対象を絞る
  • 上の4つの問いへの答えを、ターゲット定義シートとして1枚にまとめる
  • インタビューで聞いた実際の発言を、そのままシートに残す

より詳しい人物像を描くペルソナ(典型的なユーザー像を一人の人物として具体化したモデル)を作る方法もあります。チーム内で認識を合わせたいときには有効です。ただ、項目を埋める作業になってしまうと、実際の顧客から離れた人物像になりがちです。インタビューでの発言を残しておくと、そこに引き戻せます。

 

つまずくポイント

できるだけ多くの人に買ってもらいたい、という気持ちはわかります。ただ「誰にでも合う商品」という設定にすると、機能の優先順位を決める場面で判断がつかなくなります。社内で意見が割れたときに立ち返れる程度まで、対象を具体化するのをおすすめします。

 

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ターゲットマーケティング完全ガイド|STP分析から成功事例まで徹底解説

 

商品コンセプトの策定

 

何を決めるか:この商品が顧客にもたらす価値は何か

最低限やること

  • 「誰に」「どんな価値を」「どんな手段で」提供するかを、一文にまとめる
  • 競合商品との違いを、その一文のなかで言えるようにする
  • 社内の別部署の人に読んでもらい、説明なしで伝わるか確認する

たとえば「忙しいビジネスパーソンが1分でリラックスできる携帯アロマ」なら、ターゲット、価値、手段の3要素が一文に収まっています。

価値を掘り下げるときは、3種類の便益に分けて考えると整理しやすくなります。

機能的便益(性能や利便性)情緒的便益(使ったときの気分)自己表現的便益(持つことで得られる自己イメージ)の3つです。

機能だけでは差がつきにくい商品ほど、情緒的便益と自己表現的便益が効いてきます。

 

つまずくポイント

社内の各部署から「この機能も入れてほしい」と要望が集まるのは自然なことです。ただ機能を足すほど、何の商品なのかは伝わりにくくなります。載せる機能を選ぶときは、外す機能もあわせて決めてください。追加の要望が出たときも、コンセプトの一文を基準に判断できます。

 

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商品コンセプトの作り方とは?ヒット商品に学ぶ成功事例と5つの設計ステップ

 

マーケティング施策と採算の設計

 

何を決めるか:いくらで、どこで、どう売り、利益が出るか

良い商品ができても、売り方が決まっていなければ顧客に届きません。この工程では価格・販路・販促を決めたうえで、事業として成立するかを数字で確かめます。

 

【価格の設定】

価格は、原価、競合の価格帯、目標利益率の3つから逆算します。原価率の目安は業界で大きく異なるため、自社の過去実績か業界統計を基準にしてください。

価格を決めたら、損益分岐点となる販売数量を計算します。計算式は次のとおりです。

損益分岐点の販売数量=固定費 ÷(販売価格 − 1個あたりの変動費)

固定費には開発費、金型代、設備投資が含まれます。変動費に含まれるのは原材料費、加工費、梱包費、送料です。「何個売れれば赤字を脱するか」がわかっていないと、あとの工程で生産数量を決められません。

 

【販路の選定】

自社EC、実店舗、卸、モールなど、ターゲットが実際に買い物をしている場所を選びます。チャネルごとに手数料と必要な在庫量が変わるため、価格の設定に戻って計算し直しながら決めていきます。

 

【販促の設計】

SNS広告、プレスリリース、インフルエンサーの起用、店頭施策などを組み合わせます。ここで、他社にはない売り文句(USP:Unique Selling Proposition/独自の売り)を一文にまとめておくと、以降の制作物がぶれません。

 

【採算の試算】

売上、原価、利益の見通しを、楽観・現実・悲観の3パターンで作成します。悲観のシナリオで成立しないなら、価格かコスト構造を設計し直します。

見落としやすいのが、開発費を何ヶ月で回収するかという視点です。開発費、設備投資、販促費を合算し、回収までの期間を先に決めておきます。

 

つまずくポイント

社内承認の場で指摘されやすいのは、収支計画の部分です。決裁者が見るのは、いくらかけていくら返ってくるかという点です。想定が外れた場合の撤退ラインまで書いておくと、承認を得やすくなります。

企画書の項目立てと社内プレゼンの進め方は、こちらの記事で解説しています。

 

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失敗しない商品企画の流れを解説。新商品開発を成功に導く7つのステップ

 

試作品の制作とテストマーケティング

 

何を決めるか:この商品に本当に需要があるか

試作品の評価だけで量産に進むと、需要があるかどうかは発売してからしか分かりません。在庫を抱えた状態で需要がないと気づいても、打てる手は限られます。

社内のレビューやモニター調査でわかるのは、使ってみた感想です。実際に価格を提示したうえで、その金額を払う人が何人いるのかまでは確認しにくい部分があります。ここを確かめるのがテストマーケティングです。

テストマーケティングとは、本格的な販売の前に小規模な販売や検証を行い、市場の反応を確かめる手法です。主な選択肢は次の4つです。

手法

費用感

期間

得られるデータ

向いている場面

限定店舗販売

1〜3ヶ月

実購買データ

地域を限定した検証

自社EC販売

2〜4週間

実購買データ

既存顧客での検証

クラウドファンディングの仕組みを活用した先行販売

低〜中

1〜2ヶ月

実購買データ・定性コメント

新規顧客層での需要検証

モニター調査

中〜高

2〜6週間

詳細な定性データ

使用感の深掘り

クラウドファンディング(Crowdfunding)とは、「群衆(クラウド/Crowd)」と「資金調達(ファンディング/Funding)」を組み合わせた造語で、インターネットを通じて不特定多数から資金を募る仕組みです。購入型では、起案者がプロジェクトを公開し、支援者が商品を購入する形で応援します。

【補足】起案者・支援者の呼び方は、プラットフォームによって異なります。本記事ではクラウドファンディングでの一般的な名称として「起案者」「支援者」を使用します。

 

テストマーケティングで検証できる4つのこと

手法を選ぶ前に、何を確かめたいのかを決めてください。検証できることは大きく4つに分かれます。

検証項目

確かめること

次の工程への活かし方

需要検証

提示した価格で、実際に何人が購入するか

初回生産数と価格の確定

訴求検証

どの写真・言葉・機能・ストーリーに反応が集まるか

発売時の販促物の設計

初期顧客の獲得

発売前から商品を支持する顧客と接点をつくれるか

発売初速の確保

次の開発への情報収集

サイズ・色・用途・改良点への要望

次モデルやシリーズ展開の設計

4つすべてを1回の検証で確かめる必要はありません。ただし需要検証だけは必ず含めてください。需要検証が抜けると、テストマーケティングを実施した意味が薄くなります。

 

つまずくポイント

アンケートで「買いたい」と答えた人数を、そのまま需要として見積もると外れます。実際にお金を払った人数を基準にするのをおすすめします。

【注意点】テストマーケティングでは商品情報が公開されるため、競合に模倣されるリスクがあります。実施前に特許出願や商標登録の要否を確認し、必要な手続きを済ませておいてください。期間を区切って短期間で終える設計も、リスクを抑える手段になります。

 

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量産と市場投入

 

何を決めるか:どれだけ作り、どう知らせ、何を見て改善するか

 

最低限やること

  • テストマーケティングの結果から初回生産数を決める
  • 量産時の品質を、試作品と同じ水準で保てるか製造パートナーと確認する
  • 発売前に告知を開始し、発売日に初速が出る状態をつくる
  • 発売後に追う指標(KPI)を、発売前に決めて一覧にしておく

KPIは売上高だけにせず、利益率、リピート率、在庫回転率、顧客満足度などのうち重視するものを2〜3個に絞ります。定期的に同じ指標を追っていれば、問題が小さいうちに手を打てます。社内への報告もしやすくなります。

 

つまずくポイント

小ロットの試作では問題がなかったのに、量産で不具合が出ることがあります。金型や製造ラインが変わると、仕上がりも変わるためです。量産の初回ロットは検品してから出荷するのをおすすめします。

 

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工程別に使えるフレームワーク

 

各工程で判断に迷ったときは、以下のフレームワークが役立ちます。

工程

フレームワーク

使いどころ

1. 市場リサーチ

PEST分析

政治・経済・社会・技術の4観点で外部環境を把握する

1. 市場リサーチ

3C分析

顧客・競合・自社を並べて、自社の優位性を見極める

1. 市場リサーチ

5フォース分析

競合・新規参入・代替品・売り手・買い手の5つの脅威を洗う

2. ターゲット設定

STP分析

市場を細分化し、狙う層を決め、自社の立ち位置を定める

3. コンセプト策定

SCAMPER法

既存商品を7つの切り口で変形させ、発想を広げる

4. 施策と採算

4P(マーケティングミックス)

製品・価格・流通・販促の4要素を組み合わせて設計する

5. テストマーケ

MVP

必要最小限の機能に絞って市場に出し、反応を見る

6. 市場投入

PDCA

計画・実行・検証・改善を回し、投入後の商品力を伸ばす

すべてを使う必要はありません。判断の材料が足りないと感じたときに、その工程に対応するフレームワークを1つ選んで使う程度で十分です。

 

4) 商品開発に必要な4つのリソース

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6つの工程を最後まで進めるには、それに見合った体制が必要です。

 

ヒト

商品開発には、企画、開発、製造、品質管理、営業、マーケティングが関わります。それぞれが自分の工程だけを見ていると、コンセプトと仕様がずれたまま量産に入ることがあります。

工程をまたいで意思決定できる責任者を1人立ててください。専任である必要はなく、他業務との兼任でも構いません。誰が最終的に決めるのかが曖昧なままだと、確認と差し戻しに時間がかかります。

あわせて、自社のブランドの方向性を関係者で共有しておきます。担当者の好みが商品に反映されると、既存商品との一貫性が崩れます。

 

カネ

必要な費用は大きく4つです。

  • 調査費用(外部委託する場合)
  • 試作費用(金型代を含む場合は数十万円から数百万円)
  • 量産の初期費用
  • プロモーション費用

見落としやすいのは4つ目のプロモーション費用です。作る予算だけを組み、知らせる予算を残していないケースがあります。開発費と販促費は、着手時にセットで確保しておいてください。

 

情報

判断の材料になるのは、自社で取った一次データです。公開されている統計や記事は競合も見ています。差が出るのは、自社の顧客に直接聞いた声や、試作品を使ってもらった反応です。

外部データを使う場合は、出典と調査時点を控えておいてください。企画書に載せるときの説得力が変わります。

 

時間

前掲の表のとおり、標準的には1年前後かかります。発売時期が先に決まっており、そこから逆算すると期間が足りないのは、よくある状況です。重要なのは期間そのものより、どこを削ってどこを削らないかです。

期間を短縮する場合も、市場と顧客を理解する工程は残してください。省略ではなく、調査範囲を絞る、検証方法を簡易なものに切り替えるという形で圧縮します。インタビューの人数を減らす、対象エリアを1つに絞るといった調整です。

コンセプトの策定と採算の試算も同じです。ここを短くしすぎると、あとの工程で戻る作業が増えます。短くするのは各工程にかける日数で、工程の数ではありません。

 

【ポイント】4つすべてを自社で揃える必要はありません。調査は専門会社に、試作は外部の工房に委ねる方法もあります。社内に残すべきなのは、コンセプトを決める工程と、最終的な判断を下す役割の2つです。

 

5)商品開発でよくある失敗パターンと回避策

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ユニクロ創業者の柳井正氏は、自著のタイトルにもなった「一勝九敗」という言葉で、新規事業の大半が失敗に終わることを述べています。失敗を前提に、損失を小さく抑える設計にしておくことが重要です。

代表的な5つのパターンを挙げます。

 

需要を読み違えて在庫が残る

売れる前提で大量生産してしまい、結果として在庫処分で赤字になるパターンです。

在庫は置いておくだけで倉庫の保管料がかかります。決算期には評価損の計上を求められ、翌期の開発予算にも影響します。売れ残った商品の処分方法を考える時間も、本来なら次の企画に使えたはずの時間です。

回避策:

初回生産はテストマーケティングの実売数を基準に決めます。追加生産のリードタイムを事前に把握しておけば、少なく作って売り切る運用ができます。

 

ユーザーの声を聞かずに独りよがりになる

社内の熱意だけで進み、市場のニーズと合わない商品が完成するパターンです。

このパターンは、発売後に営業から「これは誰向けの商品ですか」と聞かれた時点で表面化します。販売店に置いてもらえない、置いても動かず返品される、といった形で数字に出てきます。開発した本人ほど気づきにくいのが厄介な点です。

回避策:

「工程1:市場リサーチ」と「工程5:テストマーケティング」で、社外の声を入れます。社内レビューだけで判断すると、この失敗が起きやすくなります。

 

完璧を求めて開発が長期化する

完璧を求めて開発・設計に時間をかけすぎ、市場のタイミングを逃すパターンです。

開発が長引くと、競合が先に似た商品を出します。 競合に先を越されると、同じ機能でも「後追い」に見えてしまい、価格以外で差をつけられなくなります。社内でも関心が薄れ、担当者の異動で引き継ぎが発生し、そこからさらに遅れることもあります。

回避策:

MVP(Minimum Viable Product:必要最小限の機能を備えた製品)の考え方で、基本機能に絞って市場に出します。追加機能は次のバージョンに回します。

 

追加開発でコストが膨らむ

開発の途中で機能を足し続け、原価が上がって利益が出なくなるパターンです。

原価が上がっても、いったん社内で共有した想定売価はなかなか変えられません。結果として利益率だけが計画を下回ります。この商品の実績が振るわなければ、次の企画の予算も通りにくくなります。

回避策:

「工程4 施策と採算」で決めた原価の上限を基準にし、仕様変更のたびに損益分岐点を計算し直します。上限を超える変更は決裁者の承認を必要とする運用にしておくと、歯止めになります。

 

発売をゴールにしてしまう

市場投入をゴールと考え、その後の改善が止まるパターンです。商品は、発売後に改善を繰り返すことで寿命を伸ばすことができます。

改善が止まると、ECサイトのレビューに書かれた不満がそのまま残ります。次に検討する人はそのレビューを読んで判断するため、時間が経つほど売りにくくなります。売上が落ちれば取引先の棚から外れ、再度置いてもらうことが難しくなります。

回避策:

発売後もKPIと顧客の声を定点で確認し、機能追加や品質改善を続けます。営業担当や販売店から上がってくる意見にも、改良のヒントが含まれています。

 

6)テストマーケティングで市場の反応を確かめる

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ここからは、クラウドファンディングの仕組みを活用したプラットフォームであるMakuakeで、実際に商品開発を進めた事例を紹介します。

Makuakeは、「応援購入」に特化したサービスです。発売前の商品をプロジェクトとして公開し、サポーターからの応援購入という形で、前章で挙げた4つの検証を一度に進められます。

検証項目

Makuakeで得られるもの

需要検証

提示した価格での応援購入の件数と金額

訴求検証

プロジェクトページのどの要素に反応が集まったか

初期顧客の獲得

発売前から商品を支持するサポーターとの接点

次の開発への情報収集

サポーターのコメントとアンケートによる改良要望

Makuakeは累計応援購入総額1,200億円を突破、累計会員数340万人以上、累計プロジェクト数50,000件を超え、多くのサポーターのみなさまと実行者が出会える場となっています。(2026年3月末までの実績)

量産の前に需要を確かめる進め方について、準備項目や実施の流れをまとめた資料をご用意しています。

⇒ テストマーケティングの進め方がわかる資料をダウンロード(無料)

 

事例1:寝具ブランド「ヒツジのいらない枕」

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【基本情報】

  • ブランド名:ヒツジのいらない枕
  • 実施時期:2019年(初回プロジェクト)
  • 成果:シリーズ累計8万個、応援購入総額4億円超

 

【成功の要因分析】

「羊を数えなくても眠れる」という、商品の価値が一言で伝わるコンセプトを掲げ、プロジェクトを公開しています。注目したいのは、プロジェクト終了後の動きです。同ブランドは購入したサポーターにアンケートを実施し、高さ、硬さ、素材について具体的な意見を集めました。集めた声を次のモデルの設計に反映させ、改良を重ねています。この改良のサイクルを続けた結果、枕からマットレス、布団、シーツなどへラインナップが広がりました。単一商品のブランドから、睡眠に関する商品を扱う総合ブランドへ成長しています。

 

【この事例から学べるポイント】

プロジェクトを販売の場としてだけでなく、購買データと意見を同時に集める場として使ったことが、シリーズ展開につながりました。テストマーケティングでは、売れたかどうかの結果に加えて、次の一手を決める材料が手に入ることを示しています。

関連記事

累計19億円、サポーター12万人 「ヒツジのいらない」シリーズに学ぶ、Makuake活用の成功法則

 

事例2:燕三条の老舗ブランド「仔犬印」

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【基本情報】

  • ブランド名:仔犬印(運営企業の本間製作所は新潟県燕三条/業務用厨房製品で70以上年の歴史)
  • 商品:家庭向け「給食缶」
  • 実施時期:2021年〜2023年(3プロジェクトを連続実施)
  • プラットフォーム:Makuake
  • 成果:3プロジェクト合計で応援購入総額約4,000万円

 

【成功の要因分析】

業務用の製品を長く手がけてきた企業が、家庭向けの商品を開発した事例です。既存の販路とは顧客層が異なるため、需要が読みにくい状態からの出発でした。

1回目のプロジェクトで集まったサポーターの声をもとに、高さと容量を見直した新モデルを開発。2回目、3回目と、フィードバックを次の仕様へ反映させる流れを3年間続けています。

 

【この事例から学べるポイント】

1回のプロジェクトで完成形を目指さず、3回に分けて仕様を詰めた点が特徴です。既存事業とは顧客層が異なる領域へ踏み出す際、小さく試して直す進め方が有効になり得ます。

 

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7)まとめ 

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商品開発は、市場リサーチから市場投入までの6つのプロセスで構成されます。最後に、押さえておきたい3点を整理します。

 

工程を飛ばさない

発売を急いでいる案件ほど、市場リサーチとターゲット設定を省略してしまいます。短縮するのは各工程にかける日数で、工程の数ではありません。調査範囲や検証方法を絞る形で、工程にかける期間を圧縮することをおすすめします。

 

判断基準を先に決める

各工程が終わる基準として「何を満たせば次へ進むか」を決めておきます。作業が終わったかどうかではなく、判断基準を満たしたかどうかで進めることで、戻る作業を減らすことができます。

 

量産前に実際の購買データを取る

アンケートの回答と実際の購入は別のものです。少額でも構わないので、価格を提示してお金を払ってもらう場を経由してから量産に入ることをおすすめします。在庫リスクを抑えるうえで、購買データの有無が大きな分かれ目になります。

商品開発は一直線に進むものではなく、検証と修正を繰り返しながら形を決めていくものです。最初から完璧な商品を目指す必要はありません。

 

Makuakeについて

アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」では、多くの実行者とサポーターが出会い、新しい価値を生み出しています。Makuakeはクラウドファンディングの仕組みを活かしたサイトとして、単なる資金調達の場ではなく、「応援購入」という新しい文化を創造しています。

Makuakeの仕組みや活用事例、プロジェクトの進め方をまとめた資料をご用意しています。まずは資料請求から、はじめの一歩を踏み出してみてください。

 

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