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Makuake実行者対談:日本酒ベンチャー「WAKAZE」の挑戦〜日本酒を世界に〜

こんにちは、Makuake編集部です。
今回は実際にMakuakeに挑戦した実行者にご登場いただき、プロジェクトの裏話やこれからのことについて、対談形式でお届けするMakuake実行者対談の第二弾です。今回対談させていただいたのは、日本酒スタートアップ 株式会社WAKAZE 代表の稲川琢磨さんです。

 

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ブランド立ち上げや、三軒茶屋の醸造所兼飲食店のオープンなど、これまで数回に渡りMakuakeを実施していただいているWAKAZEさん。昨年実施したパリに酒蔵を作るプロジェクトを経て、今挑戦されているパリでのお酒造りについて、マクアケ共同創業者である取締役の坊垣がお話を伺いました。

 

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※三軒茶屋にある「WAKAZE三軒茶屋醸造所」にて、十分な換気を行いながら実施しました

 

 

「その他の醸造酒」免許で日本酒業界に新規参入

 

坊垣:稲川さんは今パリを拠点にされているんですよね?

稲川:そうなんです。昨年の始めからパリに滞在し、自社醸造所「KURA GRAND PARIS(クラ グラン パリ)」の立ち上げを進めてきました。フランス・パリに酒蔵を作るという初の試みは、想定通り行かないこともありましたが、2019年11月に無事オープンさせることができました。

 

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※11月にオープンしたKURA GRAND PARIS

 

坊垣:おめでとうございます。WAKAZEさんといえば新規参入が難しいと言われる日本酒業界のベンチャーとして、東京・三軒茶屋に醸造所を作ったり、まったく新しいボタニカルSAKEを打ち出したりと新しい事に挑戦されていて、まさに業界の先駆者という印象です。
WAKAZEさんに続いて日本酒業界に参入するプレイヤーも増えたと思うのですが、レガシーな日本酒業界に対し、どう切り込まれて行かれたんですか?

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稲川:坊垣さんおっしゃるとおり、酒造免許は「清酒」では新規発行がされない(※1)ので新規参入が難しいと言われています。なので、創業当初は国内の酒蔵さんに醸造いただく「委託醸造」という形からスタートしました。OEMのようなやり方です。
もともと海外展開を見据えていたので、洋食とペアリングできるワイン樽で熟成させた日本酒を作ったり、ゆずや山椒を入れて発酵をさせたボタニカルSAKEを作ったりと、まったく新しいジャンルの酒造りに挑戦していきました。

こだわればこだわるほど、やはり自分たちで一からお酒を作りたいという思いが強くなり、酒造免許を取ろうと色々と調べたところ、「その他の醸造酒」ならば免許の取得が可能だということが分かったんです。僕たちが作っているボタニカルSAKEがそれにあたります。だったらそれで良いじゃないかと、「その他の醸造酒」で免許を取得し、三軒茶屋に酒造所を作りました。

※1:2020年4月現在、輸出用の日本酒であれば製造場の国内新設を認める方向で検討がすすんでいます

 

坊垣:酒造免許を持っている他社を買収するという方法は取らなかったんですね。

 

稲川:そうですね。日本酒の蔵の持つ伝統や地域との結びつきといったものを途中で買ってやり直すというのは、僕らのやりたいことではないなと。僕らがすべきことは、他の人がやっていない新しい事にトライする事なので。だとしたら「清酒」でなくて「その他の醸造酒」の免許でも問題はなかったんです。

 

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日本の文化を海外に展開するという挑戦

坊垣:そして今トライしている新しい事というのが、パリの醸造所なんですね。ちなみに、フランス・パリに酒蔵を作ろうというのはいつ頃から考えられていたんですか?

 

稲川:フランス進出は、実は創業当時からあった構想なんです。日本で作ったお酒を輸出すると、どうしてもコストがかかり価格が上がってしまいます。そうすると現地のお酒と同じ土台で勝負ができません。日本酒を世界に広げるには、現地に醸造所を作る必要があると考えていたんです。なので、そこから逆算をして計画をたてました。Makuakeを実施して出資とファンを募り、ブランドを立ち上げ、三軒茶屋に醸造所をオープンさせ実績を積み、ベンチャーキャピタルから出資を受けて海外進出に至っています。

 

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坊垣:事業展開の際は必ずMakuakeをご実施いただいていますよね。WAKAZEさんがMakuakeを使ってくださったことで、日本酒業界にもクラウドファンディングの使い方がより浸透したと考えています。新酒を出すならMakuakeを使おうという流れができました。日本文化である日本酒を海外に持って行くにあたり、苦労されたのはどんな点ですか?

 

稲川:主に、日本との違いによる憶測の誤りと、現地マーケティングの2点に苦労しました。酒蔵を作るにあたっては、思った以上にクイックに行かない事が多かったです。注文したものが1週間遅れて届く、届いたと思ったら全て壊れている、2割紛失する、なんてことはザラでした(笑)。日本の流通がいかに素晴らしいかを実感しましたよ。
そしてローカルニーズに合わせたプロモーションでは、我々の「こう打ち出したい、こう見せたい」という思いと、「フランス人から見た日本の魅力」のギャップに気付けず、当初BtoCがなかなかうまく行きませんでした。
ちなみに現地のクラウドファンディングプラットフォームも利用したのですが、Makuakeのようなサポートやアナリティクス機能はなく、最終的に代理店にコンサルに入ってもらいました。

 

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坊垣:日本の場合は、プラットフォームが手厚くサポートをする方がプロジェクトの成功確率を高められると考え、Makuakeは全てのプロジェクトに担当者を付けサポートさせていただいています。それに対して海外では、サポートが薄い分手数料も低いというものが多い印象です。その分代理店やコンサル企業が発達している地域もありますね。
ところで、なぜパリを選ばれたんですか?

 

稲川:もともとフランスに2年間留学していたことが大きいですね。留学にアメリカではなくフランスを選んだのは、単純に多くの人と同じことはやりたくなかったから。人と同じことをしている自分が好きではないんです。面白くないじゃないですか。

 

坊垣:人と同じことをしたくないというの、すごくよく分かります(笑)。

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発想の掛け算から生まれたボタニカルSAKE

 

稲川:日本酒はいま純米吟醸酒が主流ですが、それと同じものを作っていたらつまらない。ワクワクするお酒を作るというのがWAKAZEのコンセプトで、発想の掛け算を意識して、まったくの他業種の技術を日本酒に活かしています。ボタニカルSAKEも、ロンドンで出会ったボタニカルジンに発想を得て作りました。醸造メンバーも皆どんどん外に出て交流し、常にインプットをしています。また、知識のショートカットということも意識します。インプットを大事にしているからとはいえ、例えば自分でお茶を勉強したら10年かかってしまうかもしれない。そこはお茶の専門家に学んだほうが早いし、一緒にクリエイションできたらなお楽しいですよね。

 

坊垣:WAKAZEさんのお酒は、そうした発想から作られているんですね。お話聞いていたら飲みたくなってきてしまいました(笑)

 

稲川:よろしかったら、ぜひ飲んで行ってください!

 

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※稲川代表が直々に注いでくださいました!

 

稲川:FONIA tea ORIENTALと言って、ハイビスカスやバラ、オレンジピールと、ジャスミン茶を醪に加えてともに発酵させて造っているボタニカルSAKEで、いわゆる日本酒とは全く違った趣です。美味しくて面白い、この2つが揃って初めてお酒造りだと思っています。

 

坊垣:美味しい。WAKAZEさんのお酒は、一見奇をてらっているようで、ちゃんと美味しいんですよね。日本酒の楽しみ方がひろがるので、ファン層も広がったのではないでしょうか?

 

稲川:そうですね、これまで日本酒を飲まれなかった女性の方が店舗にいらしてくださるといったことも増えました。Makuakeも実施するごとにサポーター数が増えていっています。ただやはりコアなのは初回から応援してくださっているサポーターの方です。毎回応援購入くださる方も数名いらっしゃって、店舗にいらっしゃるときは必ずメッセージをくださいます。

 

坊垣:大ファンですね!そうした方々とWAKAZEさんをお繋ぎできて嬉しいです。「応援購入」という言葉も、まさにそうした世界観を作り出して行きたいという想いから生まれた言葉なんです。

 

変化する消費者意識がモノづくりを本質に向かわせる

 

坊垣:ここ数年で、消費者のモノを買う感覚がだんだん変化してきていると感じます。これまでは百貨店にあるものが良いモノで、正しくて、みんなが欲しくて・・・といった感覚だったものが、自分が納得できるかどうかという価値観に変わってきているように思います。インターネットが普及し、多くの情報が手に入るようになったことに加えSNSで自分の考えを発信しやすくなったという時代背景も大きいです。裏側にあるストーリー、どんな人がどんな思いでどうやって作っているものなのか、そこに共感し納得できるかどうかが、購入判断の基準になってきています。

 

稲川:アーリーアダプターは特にそうですよね。そうした深い情報を知りたがっている。アーリーアダプターの母集団形成ができているところが、Makuakeの強みだと思います。

 

坊垣:ありがとうございます。今後そうした意識の変化が、アーリーアダプターからもう少し一般化するのではと思います。そうなると、良いモノが適正な価格で売られ、モノづくりがより本質に一歩近づくのではと。モノづくりだけじゃなく、どの業界も本来そうあるべきです。世の中がより本質に向かうには、消費者の変化が必要ですし、そうした変化がみられつつあるという実感があります。今後、Makuakeを通じてよりそうした消費行動を創り出して行きたいんです。

 

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稲川:海外はよりそうした傾向があるように感じますね。少なくともフランスでは、趣向品に対する知的好奇心が強く、WAKAZEのロゴの意味について1,000回くらい訊かれました(笑)。Makuakeはモノに興味を持つきっかけになり、消費者の情報リテラシーを上げていくことに一役買っていると思います。フランスでもMakuakeがあったらなと思いました。特に、さきほども触れた現地マーケティングの部分。きっとその国や地域ごとに見せ方の定石はあるんでしょうが、日本のメーカーがそこを一から勉強するのは無理があるし、本質的ではないんですよね。そこをMakuakeが担ってくれて、ショートカットができたら、海外進出をするハードルが一気に下がると思います。

 

坊垣:日本国内でさえ見せ方の部分で苦労をされているメーカーさんが多いので、海外展開となったら尚の事ですよね。どうしたら日本の良いモノを世界にひろげて行くお手伝いができるのか、ヒントをいただけました。ありがとうございます。最後に、今後の展開について教えていただけますでしょうか。

 

稲川:パリを皮切りにして、世界的な展開を狙っています。食の領域でもイノベーションを起こしたいと考えていて、三軒茶屋の醸造所に併設している飲食店「Whim SAKE & TAPAS」のようにお酒×食の掛け算をヨーロッパやアメリカにも展開していきたいです。

 

坊垣:ぜひそのお手伝いができるように、Makuakeも成長していけたらと思います。本日はありがとうございました。

 

◎株式会社WAKAZE 代表取締役CEO 稲川 琢磨

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1988年生まれ。慶應義塾大学理工学研究科で修士課程修了。在学中にはフランス政府の奨学金給費生として2年間パリのEcole Central Parisに留学。前職はボストンコンサルティング・グループにて経営戦略コンサルタント。2016年に独立・起業しWAKAZEを設立。2019年からはフランスに移住しパリ醸造所の陣頭指揮を取る。
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最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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