D2Cとは?仕組み・メリットとデメリット・成功事例をわかりやすく解説
「D2C」という言葉を耳にする機会が増えていませんか? D2C(Direct to Consumer)とは、メーカーが中間業者を介さずに、自社のECサイトなどを通じて消費者に直接商品を販売するビジネスモデルです。
国内のデジタルD2C市場は2025年に3兆円規模に達する見込みで、アパレルや食品、化粧品など幅広い業界で注目を集めています。
この記事では、D2Cの意味や仕組みからB2Cとの違い、メリット・デメリット、始め方のステップ、そして業界別の成功事例までを網羅的に解説します。D2Cについて初めて学ぶ方はもちろん、参入を検討している企業担当者の方にも役立つ内容です。
この記事で分かること
- D2Cの定義と、B2C・SPA・ECとの違い
- D2Cのメリット・デメリットとその対策
- D2Cを始めるための5つのステップ
- アパレル・食品・化粧品の業界別成功事例
1)D2Cとは?意味と基本の仕組み

D2C(ディーツーシー)とは「Direct to Consumer」の略で、メーカーが卸売業者や小売店といった中間業者を介さずに、自社のECサイトやSNSを通じて消費者に直接商品を販売するビジネスモデルです。
従来の流通構造では、商品が消費者に届くまでに「メーカー→卸売→小売→消費者」という複数のステップを踏んでいました。D2Cではこの中間ステップを省き、「メーカー→消費者」というシンプルな構造で商品を届けます。
ただし、D2Cの本質は単なる「直販」ではありません。従来のダイレクト通販とD2Cの最大の違いは、ブランドの世界観や開発ストーリーを消費者に直接届けることにあります。商品の機能や品質だけでは差別化が難しい時代において、体験価値やブランドの思想を通じて顧客との長期的な関係を築くことが、D2Cの核心にある考え方です。
D2Cの主な特徴
- 自社ECサイトやSNSを中心に販売する
- 顧客と直接コミュニケーションを取り、フィードバックを商品改善に活かす
- ブランドの世界観やストーリーを自由に発信できる
- アパレル、食品、化粧品、家電など幅広いジャンルで採用が拡大中
2)D2CとB2C・SPA・ECとの違い

D2Cには似た用語がいくつかあります。混同しやすいポイントを整理しましょう。
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用語 |
意味 |
D2Cとの違い |
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B2C(Business to Consumer) |
企業から消費者への取引全般 |
B2Cは卸売や小売を含む。D2CはB2Cの一形態で、メーカーが直接販売する点が特徴 |
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SPA(製造小売業) |
企画から販売までを一貫で行う小売業 |
ユニクロ等の実店舗中心。D2CはECサイト中心でスモールスタートに向く |
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EC(電子商取引) |
インターネット上での商取引全般 |
ECは取引手段。D2Cはビジネスモデル。ECはD2Cを実現する手段の一つ |
B2Cとの違い
B2C(Business to Consumer)は企業から消費者への取引全般を指します。Amazonや楽天市場のようなECモールもB2Cに含まれますが、これらは製造者ではないためD2Cとは異なります。D2Cは「メーカーが直接消費者に売る」という点で、B2Cの中でも特定の形態を指す言葉です。
SPA(製造小売業)との違い
SPA(Specialty store retailer of Private label Apparel)は、ユニクロやニトリのように商品企画から製造、販売までを一貫で行う製造小売業です。D2Cと共通する点は多いものの、SPAは実店舗での対面販売が主流です。一方、D2CはECサイトを主戦場とし、少ない初期投資でスモールスタートできる点が特徴です。
ECとの違い
EC(Electronic Commerce)はインターネット上での商取引全般を指す言葉であり、D2Cに限らずさまざまな販売形態を含みます。D2Cは「ビジネスモデル」であり、ECはそのビジネスモデルを実現する「取引手段」です。つまり、D2CはECの一部であり、ECがあるからこそD2Cが成り立つといえます。
3)D2Cが注目される背景と市場規模

D2Cが急速に広がっている背景には、いくつかの大きな潮流があります。
市場規模の拡大
経済産業省の発表によれば、2024年のBtoC-EC物販市場規模は約15.2兆円(出典:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査報告書」)。EC市場全体が拡大するなかで、自社ECを軸とするD2Cモデルの存在感も着実に高まっています。
SNSの普及と消費行動の変化
SNSの利用率は全年代平均で70%を超えており(出典:総務省『令和5年通信利用動向調査』)、企業と消費者が直接つながる環境が整っています。また、消費者の価値観も「モノを所有すること」から「体験や共感」を重視する方向へ変化しています。ブランドのストーリーに共感して購入する消費者が増えたことで、D2Cのビジネスモデルが広く受け入れられるようになりました。
ECプラットフォームの進化
ShopifyをはじめとするASPカートサービスの充実により、専門的な技術がなくても自社ECサイトを構築できるようになりました。以前は大きな初期投資が必要だったECサイト構築が、月額数千円から始められる時代になり、D2Cへの参入障壁が大きく下がっています。
4)D2Cのメリット
D2Cには、従来の販売モデルにはない独自の利点があります。
中間マージンの削減による高い収益性
卸売業者や小売店を介さないため、中間マージンや手数料を削減できます。AmazonやYahoo!ショッピングなどのECモールに出店する場合に比べ、自社ECサイトで販売すれば販売手数料がかかりません。結果として、利益率が向上し、商品の価格設定にも柔軟性が生まれます。
顧客データの直接取得と活用
自社ECサイトで販売することで、顧客の属性、購入履歴、サイト内での行動データを直接収集できます。これらのデータを商品開発やマーケティングに活かせるのは、小売店経由の販売では得られないD2Cならではの強みです。
ブランドの世界観を自由に設計できる
ECモールに出店する場合、デザインやキャンペーンの自由度はプラットフォームの制約を受けます。D2Cでは、サイトのデザインからSNSでの発信内容、パッケージングに至るまで、ブランドの世界観を一貫して表現できます。この一貫性が顧客の共感を生み、ファン化を促進します。
顧客との直接コミュニケーションによるLTV向上
LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)とは、1人の顧客が生涯を通じてもたらす収益の総額のことです。D2Cでは、SNSやメールマガジンを通じて購入後も顧客との関係を継続できます。「売ったら終わり」ではなく、継続的な関係性を通じてリピート購入や口コミによる新規顧客獲得につなげられるのが、D2Cの大きな強みです。
5)D2Cのデメリットと対策
D2Cには多くのメリットがある一方、事前に理解しておくべき課題も存在します。
集客・認知獲得の難しさ
ECモールと異なり、自社ECサイトにはプラットフォーム自体の集客力がありません。自力で認知を広げ、見込み客を獲得する必要があるため、売上が安定するまでに時間がかかる傾向があります。対策としては、SNSを活用した情報発信に加え、クラウドファンディングを活用して販売前からファンを獲得する方法が注目されています。
クラウドファンディングでは、商品のコンセプトや開発背景を公開し、賛同した支援者から資金を集めることができます。これは単なる資金調達にとどまらず、テストマーケティング(市場の反応を事前に確認する手法)としても機能します。目標金額への達成状況がそのまま市場ニーズの指標になるため、大規模な在庫リスクを取らずにD2Cをスタートできます。
(※)クラウドファンディングプラットフォームごとに、「起案者」はプロジェクトオーナー、実行者、クリエイターなど、「支援者」はサポーターやバッカー、応援者などさまざまな呼び方で表現されます。この記事では代表的な表現である「起案者」「支援者」を採用しています。
ECサイト構築やシステムの初期コスト
自社ECサイトを構築するには、サイト制作費、決済システム導入、物流体制の整備など初期費用が発生します。ただし、近年はShopifyなどのASPカートサービスを利用すれば、月額数千円からECサイトを開設できます。老舗メーカーが数百万円規模のシステム投資をしなくても、スモールスタートが可能な環境が整っています。
製造から販売・顧客対応まで広い業務範囲
D2Cでは商品企画、製造、マーケティング、販売、物流、カスタマーサポートまでを自社で担う必要があります。少人数のチームで運営する場合、業務負荷が大きくなる可能性があります。物流代行サービスやCSツールの活用など、外部リソースを上手に組み合わせることが重要です。
6)D2Cの始め方 5つのステップ

D2Cビジネスを実際に始めるための基本的な流れを、ステップごとに解説します。
ステップ1:コンセプト設計とターゲット設定
まず「誰に、何を、なぜ届けるのか」を明確にします。D2Cでは、ターゲット顧客のペルソナ(典型的な顧客像)を具体的に設定し、その人が共感するブランドのコンセプトを策定します。「安くて良いもの」ではなく、「このブランドだから買いたい」と思われる独自の世界観を作ることが、D2Cの出発点です。
ペルソナの設計方法を詳しく知りたい方は「失敗しないペルソナマーケティングとは|5つのステップと避けるべき落とし穴」も参考にしてみてください。
ステップ2:商品開発とプロトタイプ作成
コンセプトに基づいて、独自性のある商品を開発します。既存商品との差別化ポイントを明確にし、プロトタイプやサンプルを作成して、次のステップである市場検証に備えます。
ステップ3:テストマーケティングで市場の反応を確認する
本格的な販売開始前に、市場の反応を確認するステップを踏むことが重要です。D2Cにおいて特に有効なのが、購入型クラウドファンディングの活用です。
購入型クラウドファンディングでは、起案者が新商品のコンセプトを公開し、支援者がそれを購入する形で応援します。この仕組みを通じて、D2Cブランドの立ち上げ時に以下の3つを同時に実現できます。
- ニーズ検証: 支援金額がそのまま市場の反応の指標になる
- 資金調達: 販売前に商品開発や製造の資金を確保できる
- 初期ファン獲得: ブランドの世界観に共感した支援者が、その後のD2C事業の基盤となる
ステップ4:ECサイトの構築
テストマーケティングで手応えを確認したら、本格的な販売チャネルとして自社ECサイトを構築します。ShopifyやBASEなどのASPカートサービスを利用すれば、専門的な技術がなくても比較的少ないコストで開設できます。
ステップ5:集客・CRM・ファン育成
ECサイトを構築したら、継続的な集客と顧客との関係構築に取り組みます。SNSでの情報発信、コンテンツマーケティングによる検索流入の獲得、メールマガジンによるリピート促進など、複数のチャネルを組み合わせてPDCAを回すことが成功の鍵です。
7)D2Cの成功事例(業界別)
具体的な成功事例を業界別に紹介します。
アパレル業界の事例
COHINAは、小柄な女性に特化したアパレルブランドです。「身長155cm以下の女性向け」という明確なターゲット設定で、既存のアパレルブランドが十分にカバーしていなかった層を開拓しました。毎日のInstagramライブ配信を通じてファンとの密なコミュニケーションを継続し、顧客の声を商品開発に直接反映しています。大手ブランドでは実現しにくい「小さなマーケットに深く刺さる」D2Cの強みを体現しているブランドです。
【この事例から学べるポイント】 D2Cでは「全員に届ける」よりも「特定の層に深く刺さる」アプローチが強く機能します。明確なターゲット設定と、そのターゲットとの継続的なコミュニケーションの掛け合わせが成功の共通項です。
食品業界の事例
Mr. CHEESECAKEは、「人生最高のチーズケーキ」というキャッチコピーで知られるD2Cブランドです。毎週日曜と月曜の午前10時のみ販売し、数分で完売するという希少性の設計がブランド価値を押し上げました。購入できること自体が特別な体験になるため、SNSでの自発的な拡散が生まれ、広告費をほとんどかけずに認知を拡大しています。シェフ自身がSNSで開発背景やこだわりを発信する「顔の見えるブランド」であることも、D2Cならではの強みを活かしたポイントです。
【この事例から学べるポイント】 「いつでも買える」より「この瞬間を逃したくない」という体験設計がブランド価値を引き上げます。また、サブスクリプションや限定販売など、D2Cでは商品の「売り方」自体がブランドの世界観を構成する重要な要素になります。
8)D2Cの立ち上げにクラウドファンディングの仕組みを活用する方法
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」は、まだ世の中にないプロダクトやサービスを、いち早く手にしたいサポーターと、新しい挑戦をする実行者が出会う場です。
Makuakeの「応援購入」がD2Cに有効な理由
Makuakeの「応援購入」とは、実行者が新しいプロダクトをプロジェクトとして公開し、その想いに共感したサポーターが購入することで応援する仕組みです。応援購入の詳しい仕組みは「はじめてのMakuake(マクアケ)|クラウドファンディング型ECの始め方と成功のコツ」で解説しています。D2Cブランドの立ち上げにおいて、応援購入は以下の点で有効です。
- 販売前に市場の反応を確認できるため、在庫リスクを最小化できる
- 応援購入金額がそのまま製造・開発の資金になる
- 「どのようなサポーターが、どんな理由で応援しているか」まで把握できる
- プロジェクトを通じて獲得したサポーターが、その後の自社EC展開時の初期顧客になる
従来のD2C立ち上げでは「まず商品を作り、在庫を抱え、それから集客する」という順序が一般的でした。応援購入を活用すれば、この順序を逆転できます。先にサポーターの共感を集め、その反応を見てから生産規模を決められるため、D2C参入のリスクが構造的に下がります。
D2C×応援購入の活用パターン
Makuakeでの応援購入は、D2Cの各フェーズで異なる形で活用できます。
立ち上げフェーズでは、まだ世の中にない新商品のコンセプトを公開し、市場の反応を確認しながら初期資金を集めます。既存のD2Cブランドがラインナップを拡充する際にも、新商品のテストマーケティングとして活用されるケースが増えています。
プロジェクト期間中はサポーターとのコミュニケーションを通じて商品への期待やフィードバックを直接得ることができ、正式販売前の商品改善にも活かせます。こうしたプロセスそのものがブランドのストーリーとなり、サポーターのロイヤルティを高める効果があります。
Makuakeの実績
Makuakeは累計応援購入総額1,200億円を突破、累計会員数330万人以上、累計プロジェクト数48,000件を超え、多くのサポーターのみなさまと実行者が出会える場となることができました(2025年12月末実績)。
ガジェットや家電などの新商品プロジェクトが多く、発売前のテストマーケティングとして活用されるケースが目立ちます。専任キュレーターが企画段階から伴走するため、初めてプロジェクトを実施する実行者でも取り組みやすいのが特徴です。
9)D2Cに関するよくある質問
Q. D2CとB2Cの違いは?
A. B2Cは企業から消費者への取引全般を指します。D2CはB2Cの一形態で、メーカーが中間業者を介さずに直接消費者に販売する点が特徴です。
Q. D2Cに向いている商品ジャンルは?
A. アパレル、化粧品、食品、健康食品、家電・ガジェットなど、ブランドの世界観を伝えやすく、リピート購入につながりやすい商品が適しています。EC化率が高いジャンルほど、D2Cとの親和性が高い傾向があります。
Q. D2Cを始めるのにどれくらいの費用がかかる?
A. ASPカートサービスを利用すれば、ECサイトの構築自体は月額数千円から始められます。商品開発費、在庫、広告費などを含めた総額は事業規模によりますが、クラウドファンディングを活用すれば初期費用を抑えたスタートが可能です。クラウドファンディングの始め方については「クラウドファンディングのやり方 完全ガイド|初心者が成功するための6つのステップとコツ」で解説しています。
Q. D2Cブランドの集客で最も重要なことは?
A. ブランドの世界観を築き、それに共感するファンを育てることです。SNSでの情報発信、クラウドファンディングでの初期ファン獲得、コンテンツマーケティングによる検索流入の確保を組み合わせることで、継続的な集客基盤を構築できます。
10)まとめ
D2Cは、メーカーが消費者と直接つながり、ブランドの世界観ごと商品を届けるビジネスモデルです。国内市場は3兆円規模に成長し、アパレルや食品、化粧品など幅広い業界で成功事例が生まれています。
一方で、D2C最大の課題である「集客の壁」を越えるためには、クラウドファンディングを活用したテストマーケティングや初期ファン獲得が有効な選択肢です。「モノを売る」から「顧客体験を届ける」への転換が、D2C成功の鍵となるはずです。
アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」では、多くの実行者とサポーターが出会い、新しい価値を生み出しています。Makuakeはクラウドファンディングの仕組みを活かしたサイトとして、単なる資金調達の場ではなく、「応援購入」という新しい文化を創造しています。
Makuakeの仕組みや活用事例、プロジェクトの進め方をまとめた資料をご用意しています。まずは資料請求から、はじめの一歩を踏み出してみてください。
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